先日、「似合わなくなった着物をもう一度楽しむ!60代からのコーディネート術」という記事を投稿しました。
カジュアルシーンでは若いときの明るい着物コーディネートをしてみると良いという記事です。

では、「40〜60代の頃のシックな着物を、70代の自分にもう一度似合わせて活かすこと」はできないのか?と自問してみました。
そのまま眠らせておくのは、やっぱりもったいないですよね。
そして、プライベートのお出かけではなく、久しぶりの“仕事着としての着物”を着る機会があり、
そこで自問に対する答えが見えてきました。
今回は、「若い頃(40〜60代)に仕立てたシックな着物をどう活かすか」について、
私なりの結論をお伝えしたいと思います。

明るいトーンの帯を合わせ、落ち着きの中に華やかさを添えた仕事着コーディネート
仕事着としてのコディネート例
- 着物:真綿ならではのやわらかな光沢が感じられる結城紬
- 帯:螺鈿模様がところどころに輝く名古屋帯
- 帯揚げ・帯締め:着物の色に合わせ、抹茶色で落ち着かせ、秋らしい茶色と2色で統一

結論
遅まきながら、お金の勉強を始めたことがきっかけで着物に対する捉え方が変化して来ました。
私が勝手に考えた「着物リバランス」という言葉は、投資の「リバランス」を着物の文脈に当てはめた表現で、簡単に言うと「着物のコーディネートやバランスを整えること」を意味します。
40〜60代のころに誂えた着物、”着物リバランス”で活かせます!
当時は顔映りも良く、シックな色合いも上品に見えたはず。
けれど70代になると、「少し暗い」「重たく感じる」と思うことが増えてきます。
それは、あなたの感覚が間違っているわけではありません。
今の自分に合わせた“リバランス”の時期が来ているだけなのです。
リバランスとは、「今の自分に調和を取り直すこと」
年齢を重ねるにつれ、顔の輪郭や肌のトーン、体の印象はやわらかく変化します。
40〜60代の頃と同じコーディネートでは、全体が沈んで見えることも。
でも、それは自然なこと。
むしろ、今の自分を最も美しく見せるチャンスです。
たとえば――
重た目の着物には、明るい帯や小物を合わせて軽やかに。
重た目の帯には、明るい着物や帯揚げを合わせて華やかに。
かつて「シック×シック」で落ち着いて見えた装いも、
今は「軽やか×シック」にリバランスすることで、
70代らしい上品さと明るさが生まれます。

理想のコーディネートを決めるのは「組み合わせの許容度」
着物の楽しさは、持っている数ではなく、
どれだけ組み合わせを変えられるかにあります。
- 着物・帯・小物を多く持っていれば、組み合わせの幅が広がる。
- でも、数が少なくても工夫次第で印象は無限に変わる。
帯・帯揚げ・帯締め・半衿などの小物を変えるだけでも、
同じ着物がまったく違う表情になります。
もしどうしても必要なアイテムがある場合は、
手持ちの洋服用の小物なども上手に活用してみましょう。
それでも足りない場合は、
使わない着物や帯を処分して、その範囲内の金額で新しいものを購入するのがおすすめです。
このルールを決めておくと、クローゼットが整い、迷いが減ります。
着物リバランスは「着る前」が最適
着物リバランスは、頻繁に行う必要はありません。
実際に着る前に行うのがいちばん効果的です。
なぜなら、行く場所や目的によって、ふさわしい装いは変わるからです。
たとえば、観劇、お茶会、食事会、仕事――。
同じ着物でも、帯や小物の選び方次第で印象が大きく変わります。
季節や行事の節目に見直すくらいがちょうどいい
あまり細かく頻繁に見直すよりも、
季節ごと、または行事の前後に軽く見直すくらいが理想です。
40〜60代から70代へと変わったように、
今後も年齢やライフスタイルの変化に合わせて、
無理なく少しずつ調整していけば十分です。
「考えすぎない」ことが長く続けるコツ
リバランスはあくまで、自分をきれいに見せるための工夫。
考えすぎて「面倒だからやめよう」となってしまっては本末転倒です。
大切なのは、完璧を求めずに、今できる範囲で整えること。
そうすることで、着物ライフから退場せずに、
長く・楽しく・無理なく続けられます。
まとめ:シンプルに、保守的に、そして楽しんで
年齢にかかわらず言えることですが
- 持ち物はシンプルに整える
- 今あるアイテムの中で組み合わせを工夫する
- 追加購入は、処分した分の範囲で行う
- 迷った時は、保守的な判断を(攻めはやめる)
こうして「コーディネート・リバランス」を意識することで、
40〜60代の頃に誂えた着物が、
70代のあなたにもぴったりの装いとして蘇ります。
終わりに
着物は、年齢とともに“似合う”が変化するもの。
でも、工夫次第でその変化を味方にできます。
リバランスとは、手放すことではなく、今の自分に合うように見直して活かすこと。
今の自分にふさわしい着物スタイルを見つけて、
これからも心豊かな着物時間を楽しんでいきましょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。この記事が参考になれば嬉しいです。
着付け教室を開いています。ご質問等お寄せください。

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