歳を重ねるにつれ、「もう似合わないかな」と遠慮してしまう着物が増えていませんか?
私もずっとそんなふうに思い込んでいました。
けれど先日、姉から受け継いだ付下げに袖を通したことで、
“年齢を重ねた今だからこそ輝く着物がある” ことを実感しました。
嵐山「翠嵐」で過ごした特別な時間とともに、
着物が私に教えてくれた大切な気づきを綴ります。
嵐山「翠嵐」で着物で味わう特別ランチ
知人が一休.comを利用して、「翠嵐」のお得なプランを予約してくれました。
この内容でこの価格は破格で、時々チェックする価値があります。
京料理コース 8品+1ドリンク+お椀
13,224円(税サ込)→ 1万円(税サ込)(24%オフ)(2025年11月23日時点)
私がいただいた2025年11月のランチでは、椀物がなんと松茸の土瓶蒸し。幸運な内容でした。
美しい庭園を望む席で、ゆったりと食事を楽しむことができました。




タンスの奥から蘇った、姉の嫁入り道具の付下げ
この付下げは、姉が嫁入りの際に持っていった、母の想いが込められた一枚。
長い間、亡き姉の桐箪笥にしまわれていたものです。
姪が着物一式を整理するというので譲り受けたのですが、その時は
「リメイクに使えばいい」くらいに考えていました。
“70代の自分には派手すぎる” と思い込んでいたからです。
ところが、確認のために羽織ってみた瞬間、息をのみました。
- 昔の絹ならではの深い艶
- しなやかな手触り
- 職人さんの染の技術と特有の気品
これはしまっておくのが惜しい――心からそう感じました。
そして、願わくばどこかに着ていきたいと…。

コーデを決めるときに起きた“小さな奇跡”
本来は、別の着物で出かける予定でした。
最近着ていない黄八丈に染帯で秋の雰囲気の年相応のコーディネートを考えていました。

ところが、前日に候補の紬や小紋を並べていたところ、ふと姉の付下げが頭に浮かび、帯を合わせてみると驚くほどしっくり。
しかも寸法の合った長襦袢までセットで送られてきており、
「これはもう、この付下げで行きなさいということね」と思えるほどでした。
合わせた羽織は、背中に大きな乱菊の模様が描かれた柿色の絵羽織です。これも寸法はぴったりで、着心地もバランスも良いです。
華やかさと落ち着きがうまく調和していて、シニア世代にも自然に似合います。
少なくとも、私はそう感じました。
帯は、かつて私が姉に貸した“里帰り帯”。
帯揚げは私のもの、帯締めは妹から。
姉妹三人の想いをまとったコーディネートになりました。

晴天の嵐山で、70代の着物姿が柔らかく映える
当日は気持ちの良い秋晴れの日。
付下げの淡い色味が嵐山の自然に調和し、ご一緒した方にも褒めていただきました。
普段は紬を着ることが多い私ですが、久しぶりの“柔らかもの”の上品さに改めて魅了されました。
絹の着物は、身につけると気持ちまで凛と整えてくれる不思議な力があります。
待ち合わせの嵐電・嵐山駅の「友禅のポール」は「キモノフォレスト」と呼ばれるスポットで、約600本の高さ約2メートルのポールに京友禅の布地が包まれています。夜はライトアップされるそうです。


ゆったりと食事を満喫したあとは、窓から眺めていたお庭をゆっくり散歩して楽しみました。

年齢を重ねたからこそ似合う着物がある
「もう70代だから派手な着物は…」
そんな遠慮は、多くの方が感じているものだと思います。
けれど今回、姉の付下げを着てみてはっきり分かりました。
歳を重ねたからこそ、美しく映える着物がある。
還暦の「赤」も、本来は人生が再び輝く節目の色。
派手さを恐れる必要はありません。
プライベートで着て支障がなく、自分の心が晴れるなら、ぜひ着るべきです。


眠っている着物がある方へ
もし眠らせている着物があるなら、ぜひ一度袖を通してみてください。
「派手かな?」「もう似合わないかも」
という思い込みは、案外あっさり覆されます。
着物は、年齢を重ねたほど美しく映える不思議な力があります。
今回の体験で、そのことを深く実感しました。
これからも、
「少し派手かな?」と思う着物こそ工夫して楽しむ70代、80代
でいたいと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。この記事が眠らせている着物を蘇らせる一助になれば嬉しいです。
着付け教室を開いています。ご質問等ございましたらお気軽にお問い合わせください。

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