
入学式にどんな着物や帯を選べばよいのか、全くわかりません。



普段あまり着物を着る機会がないので、自信を持って式に臨めるように、ふさわしい装いを教えてください。



最近、入学式が再開され、着物を着て参加しようと考えている方も多いのではないでしょうか。
しかし、持っている着物や帯の選び方を誤ると、せっかくの晴れの日にふさわしくない装いになってしまうこともあります。そうならないために、正しい選び方を知り、格式に合ったコーディネートを心がけましょう。
新入学の式典にふさわしい着物選びや、自信を持てるコーディネートについてお伝えしますので、ぜひ最後までご覧ください。
結論
• 新入学の式典は、お子さんや家族にとって大切な節目のイベントです。
• その場にふさわしい着物を選ぶことで、格式を大切にしながら華やかさも演出できます。
• タンスに眠らせている高価で勿体ない着物や帯が活用できます。
必ず、前もって出してみる
迷われたら前もって出してください。
①着物、②帯、③帯締め、④帯揚げ、⑤足袋、⑥襦袢、⑦衿芯、⑧肌着、⑨こしひも3〜5本、⑩伊達締め2本、⑪帯板、⑫ウエストやヒップの補正具、あるいはタオル3〜5枚くらい
を出してサイズや汚れを確認してください。
バッグやサブバッグ、草履も事前に点検してください。
特に草履は、時間が経つと劣化し、エナメルが剥がれたり、底が外れることがあります。
この視点から以下のコーディネートになります。
入学式にふさわしい装いは
着物・・・訪問着、色無地、付下げ、江戸小紋(江戸小紋は柄に注意点があります)
帯・・・袋帯、洒落袋帯、名古屋帯(名古屋帯は素材に注意点があります)
帯締め、帯揚げ・・・白、クリーム色、うすピンク、薄緑色など薄い色
この組み合わせなら大きく失敗することはありませんが、コーディネートの仕方には注意が必要です。
その理由を詳しく説明します。
1. 着物別コーディネト
訪問着とは
訪問着(ほうもんぎ)は、フォーマルな場にふさわしい着物の一種です。肩から袖、裾にかけて模様がつながる「絵羽模様(えばもよう)」が特徴で、華やかさがあります。
未婚・既婚を問わず着用でき、帯や小物の合わせ方次第で、準礼装からおしゃれ着まで幅広く対応できるのも魅力です。
付下げとは
付下げ(つけさげ)は、訪問着より少し控えめなフォーマル着物です。模様は上下が決まっていて、縫い目でつながらなくても違和感がないように配置されています。
訪問着ほど華やかではありませんが、訪問着よりも控えめながら上品な印象があり、幅広い場面で活躍する着物です。
色無地とは
色無地(いろむじ)は、無地の着物に色をつけたシンプルで上品な着物です。模様は一切なく、色の違いで印象を変えることができます。
カジュアルから正式な場面まで幅広く対応できるため、非常に便利な着物です。
江戸小紋とは
江戸小紋は、細かい模様が全体に散りばめられ、通常は一色を基調にしたシンプルなデザインが特徴です。日常やフォーマルな場に適しています。
江戸小紋三役という、格の高い柄の着物を選べば礼服として着ることができます。
行儀、角通し、鮫という3つの柄を指します。
写真は、鮫小紋に袋帯を合わせたコーディネートです。柄の雰囲気を参考にしていただくための着用例であり、実際に選ぶ際は、もう少し明るい色合いのものがおすすめです。


1. 色合い
明るく上品な色が適しています。例えば、
• 淡い色(薄ピンク、クリーム、藤色、水色など)→ 優しく華やか
• ベージュやグレー系 → 落ち着いた上品さ
濃い色や華やかすぎる色より、柔らかい印象の色が好まれます。
2.訪問着や付下げの柄と色無地、江戸小紋の地紋
訪問着や付下げの柄
格式がありつつも、お祝いの場にふさわしい華やかさのあるものを選びましょう。
• 吉祥文様、上品な草花や四季の花、
金彩や刺繍が多すぎるものは、式典の場では控えめなものを選ぶと良いでしょう。
とは言え、一般的な古典柄の訪問着であれば問題ありません。
色無地の地紋は
入学式にふさわしい色無地の地紋として、以下のような柄がよく選ばれます。
おすすめの地紋
1. 吉祥文様(おめでたい意味を持つ柄)
• 七宝(円が永遠に繋がる、縁や繁栄を表す)
2. 格調高い文様(フォーマルな場に適した柄)
• 紗綾形(さやがた)(連続する卍模様で繁栄を表す)
3. 上品で控えめな柄(品のある印象を与える)
• 桜や梅などの花柄(春の入学式にぴったり)


色無地は地紋の柄によって印象が変わるので、格式がありながらもお祝いの雰囲気に合うものを選ぶと素敵ですね。
とは言え、細かい柄の模様であれば目立ちにくいのでふさわしい色だけ注意すれば特に問題ありません。
江戸小紋の地紋
礼装に適した江戸小紋の柄は、特に格式のある「三役(さんやく)」と呼ばれる以下の三つの柄が代表的です。
1. 鮫(さめ) – 細かい点が集まって鮫肌のように見える柄
2. 行儀(ぎょうぎ) – 斜めに並んだ点が整然とした印象を与える柄
3. 角通し(かくとおし) – 碁盤の目のように点が均一に並ぶ柄
これらの柄は、遠目には無地のように見え、格調高い雰囲気があるため、紋を付けることで色無地に準じた礼装として着ることができます。特に、一つ紋を入れた江戸小紋は、略礼装として式典やお茶会などの場にもふさわしい装いになります。
4. 帯と小物
• 袋帯 or 格の高い名古屋帯 → 祝いの席なので、適度な華やかさを
※格の高い名古屋帯(入学式に向いている名古屋帯)とは
• 淡い金銀彩(キラキラしている)や上品な色合いの帯
• 優しい色味の刺繍帯(華美すぎないもの)
• 吉祥文様や四季の花が描かれたもの
ただし、入学式では格式を重視する場面もあるため、訪問着に合わせるなら袋帯の方が無難です。名古屋帯を選ぶ場合は、格の高いものを選び、帯揚げ・帯締めも上品にまとめると良いですね。
• 帯の色は明るめ or 控えめなゴールド・シルバー系
訪問着から小紋まで対応可能な帯も一本あれば便利です。
• バッグや草履も上品にまとめる(白やベージュ系が無難)


荷物が多いときは、正装用のバッグだけでなくサブバッグも兼ねる大きさで華やかさもあるものが便利です。
普段着の着物にも合わせられる草履があると便利です。
草履のサイズは、かかとが少し出るくらいがちょうど良いです。かかとがぴったり収まると、歩くたびに「ぱたぱた」と音がして歩きにくくなります。
Sサイズの草履もあります。
注意点
• 成人式のような華やかすぎるものは避ける
• 地味すぎると卒業式向けになってしまうため、適度な華やかさを
• お母様として、主役のお子様を引き立てる装いを意識する
• 道中はショールを羽織るかコートを着ていくことをおすすめします。
レースのショールを羽織って帯を守っています。


訪問着や付下げはフォーマルな場にふさわしい装いなので、同系色で品よくまとめることで、入学式にぴったりの装いになりますよ。
5. 入学式コーディネートのポイント
色選びのポイント
• 春らしい淡い色や優しい色味が◎(ベージュ、淡いピンク、薄藤色 など)
• 主役は子どもなので、控えめで品のある装いを意識
小物選び(草履・バッグ・半衿・帯揚げ・帯締め)
半襟は白の塩瀬が一般的でスッキリとまとまります。
• 帯揚げ、帯締めは白やパステル系で上品にまとめる
• バッグは小ぶりでフォーマル感のあるものを
ただし、荷物が多いときはサブバッグを用意すると安心です。
ヘアスタイル
• まとめ髪が基本(シンプルなシニヨンや夜会巻きがおすすめ)
• 派手すぎない髪飾りを選ぶ
6. 実際のコーディネート例
• 付け下げ × 袋帯の組み合わせ例


7. 着物を着る際の注意点
• 長時間の着用になるので、動きやすい着付けを意識
• 事前に歩きやすい草履を準備
• 天気(雨の場合の対策として、雨コートや足袋カバーなども準備)
8. まとめ
入学式に着物を選ぶメリット
• フォーマルで品格のある装いができます。
• 家族の記念写真がより特別なものになります。
• 着物ならではの華やかさでお祝いの気持ちを表現できます。
入学式にふさわしい装いは
着物・・・訪問着、色無地、付下げ、江戸小紋(江戸小紋は注意点があります)
帯・・・袋帯、洒落袋帯、名古屋帯(名古屋帯は注意点があります)
帯締め、帯揚げ・・・白、クリーム色、薄緑色など薄い色
この組み合わせなら大きく失敗することはありません。
• 入学式は子どもが主役なので、母親として上品で控えめな装いを意識
• 帯や小物でフォーマル感を出しつつ、春らしい優しい色合いを選ぶと◎
→ これから入学式を迎える方に、素敵な思い出となる装いを!
フォーマル用のバッグの他にサブバッグを用意すると持ち物が多い場合も安心です。
※ カジュアルすぎる紬や小紋(総柄)は、格式のある式典には不向きなので普段のお出かけにおすすめです。
最後までお読みいただきありがとうございました。この記事が参考になれば嬉しいです。
着付け教室を開講しています。お気軽にお問い合わせください。
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