雨の日、着物を着るのはちょっと勇気がいりますよね。特に正絹(しょうけん)の着物となると、「濡らしたら大変なことになるのでは……」と不安に感じる方も多いと思います。
でも、大切なお出かけやお稽古、観劇の予定など、「この日しか着物を着る機会がない!」ということもありますよね。そんな時、しっかりと準備をすれば、雨の日でも安心して着物を楽しむことができます。
この記事では、雨の日に正絹の着物を着る際の注意点や、実際に私が行っているコツをご紹介します。大切な着物を守りながら、気持ちよく一日を過ごすためのヒントになれば嬉しいです。
結論
【準備とコツ】
- 着る日の天気チェックする
- 雨用アイテムの準備をする
- 裾さばきと袖の扱いに注意して歩く
- 移動は公共交通機関を中心にタクシーを利用する
- 少し濡れた場合の対処法を調べておく
- しっかり濡れてしまった場合の対処法を調べておく
これらの準備と心構えで雨の日も安心して着物でお出かけできます。
雨の日の基本対策〜準備編〜
着る日の天気は「細かくチェック」がおすすめ
着物でお出かけする日は、天気のチェックがとても大切です。
降水確率を見るだけでなく、「時間帯ごとの雨雲の動き」まで確認しておくと安心です。
たとえば午前中は晴れていても、帰り道に大雨…なんてこともよくあります。また、雨が降る時間帯によってはタクシーが捕まらなかったり、交通機関に遅れが出たりすることもあります。
そんな経験からも、交通アクセスや帰りの手段としてタクシーのアプリを入れておくなどについても事前に調べておくことをおすすめします。
大きめの傘を用意するとかなり濡れ方が違います。

雨用アイテムの準備
1. 雨コートや二部式コート
着物専用の雨コートは、全体を覆ってくれるので安心感があります。上下が分かれた「二部式雨コート」は、着脱がしやすく便利です。撥水加工されたものを選ぶと、さらに安心です。
道行衿の雨コートは、礼装の上にも着られるデザインです。
道中衿タイプより前はホックで裾までしっかり留められるため、歩いているときに裾がめくれにくく、雨から着物をしっかり守ってくれます。

2. 草履カバー・たもとカバー
草履には透明のビニールカバーをかけると、濡れにくく滑りにくくなります。袖口(たもと)が濡れるのを防ぐ「たもとカバー」や、袖の中で止める「たもと留め」もおすすめです。
雨ゴートのたもとから着物のたもとが出ないように両方ともを挟んで帯の中を通し、たもとが雨に濡れるのを防ぎます。
3. 雨用の履き物
カレンブロッソのような底がゴムで滑りにくい草履や、下駄に草履カバーをつける方法もあります。滑りにくさと濡れにくさ、両方を意識して選びましょう。

4. バッグの工夫
絹のバッグや布製のバッグは濡れやすいため、ビニール風呂敷に包んだり、防水ポーチを使ったりするのがおすすめです。最近はおしゃれなナイロンバッグも多く出ているので、雨の日専用に一つ用意しておくと安心です。

撥水加工風呂敷を持ってると何かと便利です。
当日の着こなしと移動のコツ
裾さばきと袖の扱いに注意
雨の日は、歩き方や所作にも少し工夫が必要です。裾を濡らさないように、いつもより少し内股で歩くと安心です。階段を上がるときや段差がある場所では、雨ゴートの裾を踏まないようにそっと持ち上げて足元を確認しながら歩くとスマートです。
また、袖口が雨に当たってしまわないよう、「たもと留め」を活用しましょう。雨コートの中に袖をきれいに収めておけば、着物の袖が濡れる心配も少なくなります。
着物をあらかじめ短く上げて腰でしっかり抑えておくとなお安心です。

移動は公共交通機関を上手に使う
雨の日は、なるべく歩く距離を短くするのがポイントです。駅に近いルートを選んだり、バスやタクシーを使って、目的地のすぐ近くまで移動できるようにすると安心です。準備編に記載した通り交通機関をよく調べて置くことが重要です。
また、傘だけではカバーしきれないこともあるので、全身をしっかり守れる雨コートや、大きめの傘などもあると便利ですよ。
二部式コートは着丈調整ができ、上着だけでも簡易コートとして使えるので便利です。
着丈が合えばスッキリとした着姿になって雨の日も全身が覆えて安心です。
大きくて軽量の傘が安心です。
濡れてしまった時の応急処置とアフターケア
少し濡れてしまった場合の対処法
帰宅後、着物が少し湿っていたら、まずはタオルでそっと押さえるようにして水分を取ります。決してこすらず、優しく「押さえる」のがポイントです。
その後は、すぐにハンガーにかけて、風通しのよい日陰に吊るしましょう。直射日光やドライヤーでの乾燥は、絹を傷める原因になるので避けてくださいね。
撥水加工された雨コートは、玄関で脱ぐ前に軽くタオルではたくようにして水を払うと、簡単に水滴を落とすことができます。
しっかり濡れてしまった場合
着物全体が濡れてしまった場合は、自分で対処せずに、なるべく早めに専門のクリーニング店に相談しましょう。着物専門の丸洗い業者なら、素材に合った方法で丁寧にお手入れしてくれます。
「どこにお願いしたらいいかわからない」という方は、呉服店や、信頼できる着物仲間に相談するのもおすすめです。
いくつか見積もりを取って比較するのも大切ですが、急いで対処したいときは、納得できる価格であれば早めに依頼するのがおすすめです。
雨の日だからこそ楽しめる着物の工夫
実は、雨の日ならではの楽しみ方もあるんです。
たとえば、濃い色の着物や、柄の多いものは、万が一濡れてもシミが目立ちにくく、安心して着られます。また、撥水加工された雨コートや、足袋、個性的な雨草履など、雨の日のアイテムでおしゃれを楽しむのも素敵です。
まとめ
【雨の日も「着物日和」に変える心構え】
雨の日の正絹着物は、たしかに気を使うことが多いですが、準備と工夫さえあれば安心して楽しめます。
「雨だからやめよう」ではなく、「雨だからこそ、着物を素敵に着こなそう」
そんな気持ちで一日を過ごせたら、きっと雨の日の思い出が特別なものになります。
着物は濡れて困りますが、身体は濡れずに快適です。足元を撥水足袋やおしゃれな雨草履でしっかりカバーしておくと
雨でも着物のほうが身体には良い贅沢な一日になること間違いなしです。
この記事が、お役に立てれば嬉しいです。最後までお読みいただきありがとうございました。
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