着物初心者はどこで買う？予算内で“本当に気に入った一揃え”を選ぶコツ

「着物を始めてみたいけれど、どこで買えばいいの？」

そんな声をよく聞きます。

でも実は、「どこで買うか」よりも大切なのは、「着たときにどんな気分や印象を味わいたいか」。

自分の心が本当にワクワクする一揃えを、無理のない予算の中で見つけることが、

着物生活を長く楽しむための第一歩です。

今回は、着物初心者さんに向けて、失敗しないお店選びと、

中途半端にならない「ときめく一枚」の見つけ方をお伝えします。

まずは「目的」と「予算」を決めましょう

着物を選ぶ際は、「着たときにどんな気分や印象を味わいたいか」を大切にすると、自分らしい着こなしができて満足のいく一枚に出会いやすくなります。

そのうえで、「どんな場面で着るか」と「予算はいくらにするか」という二つのポイントを具体的に考えておくことが大切です。
たとえば：

• 普段のお出かけやランチなどに気軽に楽しみたい場合
  → 初心者の方でも無理なく取り入れやすいスタイルです。
  
• お茶やお花などのお稽古で着たい場合
  → 少し格式がある場面で着るなら、多少の練習や知識が必要ですが、続けるうちに自然と身につきます。
  
• 式典や結婚式などフォーマルな場に備えたい場合
  → 初心者には少しハードルが高いので、まずはレンタルを利用して経験を積むのがおすすめです。

このように、「どんな場面で着たいか」という目的を定めておくと、選ぶ着物の種類やお店の方向性が自然に見えてきます。
もう一つ大切なのが「予算」です。
無理のない範囲をあらかじめ決め、その中で自分に合った着物や帯を探しましょう。予算を気にせず勢いで買ってしまうと、後で心にもお財布にも負担が残ります（泣）。
その場のワクワクよりも、長く愛せる一枚を選ぶのがポイントです。

普段のお出かけやランチ用なら、カジュアルなデニム着物などもおすすめ。帯揚げは新しく買わなくても、手持ちのシルクのスカーフで代用できます。帯留めもブローチを使えば、自分らしい個性を簡単に演出できます。お手入れも気軽で、価格も抑えられます。
いちばん大切なのは、「今の自分が無理なく、心から気に入る一枚」を選ぶことです。
それが、自分らしい着物生活のいちばんのスタートになります。

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デニム着物は価格の幅が広いですが、できれば生地がしっかりしていて、縫製の丁寧なものを選ぶのがおすすめです。

初心者さんにおすすめのお店タイプ３選

初心者の方が安心して着物選びを始められるよう、特におすすめの3つのお店のタイプをご紹介します。それぞれの特徴を知って、自分に合ったお店を見つけてくださいね。

① リサイクル着物店

初心者さんにいちばん人気なのが、リサイクル着物のお店です。

価格が手頃で、いろいろな柄や色を実際に手に取りながら選べます。

• 相場：お店のもよりますが、3,000〜20,000円ほどなら失敗しても痛手は少なく許容範囲
• メリット：お得で種類が豊富、練習用にも最適
• デメリット：サイズが合わない場合がある

安いから、という理由だけで選んでしまうと、後で着なくなってしまうことも。

値段の安さだけで選ばずに、「これを着てお出かけしたい」と心から思える着物を選ぶことが大切です。

そして、サイズをしっかり確認してください。そして、合わない場合はきれいにお直しができるか確認して、見積もりもお願いしましょう。

リサイクル着物は、ヤケ（色あせや染み）があったり、巾出しをしても色の違いが目立ったり、そもそも幅出しができない場合もあります。そのため、サイズが合わない着物や帯は、初心者がきれいな着付けを目指すには向いていません。

リサイクルショップで割安に購入した着物ですが、裄と袖丈を直すのに少し費用がかかりました。けれども、可愛らしい柄の茶泥大島紬だったので、仕立て直しの手間も納得できる一枚でした。

② 呉服店（専門店）

着物専門の呉服店では、反物から仕立ててもらうことが多いです。

店員さんに相談しながら、自分に合った一枚をじっくり選べるのが魅力。
商品や仕立て代の価格が明確な店、素朴な疑問やコーディネートの提案や相談に親切に対応してくれる店は信頼できます。

• メリット：仕立て上がった着物は、自分の体にぴったり合う寸法で作られているため、着心地が良く、見た目も美しいです。また、品質がはっきりしているので安心して長く着られます。
• デメリット：仕立て上がりの着物は値段がやや高めになることが多く、呉服店に初めて足を踏み入れると、格式や雰囲気に緊張してしまうことがあります。

とはいえ、信頼できるお店であれば、長く愛せる着物との出会いがあります。

最初に見るだけになるかもしれないことを伝えておくと安心です。

新作の見事な着物や帯などを見せていただけコーディネートの勉強にもなります。

予算を言って反物を出してもらい着装し、顔映りや帯合わせの相談ができるのでゆっくり検討できます。

すこし、ハードルが高いかもしれませんが、予算を超えなければ初心者にとっては格式なども学べるきかいになります。

老舗の呉服店で購入した塩沢紬の着物です。気軽なお出かけに着たいという希望を伝えて、お店の方に提案してもらいました。縞模様があっさりしているので、帯合わせの楽しみ方が広がります。値段はやや高めでしたが、よく袖を通すお気に入りの一枚になりました。

着付け教室の催事で買ったポリエステルの着物です。仕事の都合で洗える着物が必要だったので、ポリ着物ですが院長のお墨付きで、顔映りを確認しながら選んでもらいました。この小紋の着物も帯合わせがしやすく、さまざまな場面で着られるのでとても便利に使っています。

うまくポリも組み合わせるとお値段的にも柄入りの気軽な着物が楽しめます。

③ ネットショップ・リユースサイト

ネットショップの魅力は、24時間いつでも利用できるため、時間を気にせずゆっくりと商品を選べる点にあります。
【メリット】
• 幅広い選択肢から商品を探せる
• 価格の比較がしやすい
【デメリット】
• サイズや質感が実際に確認できないため、商品の品質に不安が生じることがある
• 顧客情報の漏えいリスクがある
• 返品や問い合わせ対応の手間が増えることがある

購入前には、サイズ表記や出品者の評価、口コミなどをしっかり確認しましょう。
初めて利用する場合は、リユース専門サイトなど信頼性の高いショップを選ぶのがおすすめです。
メルカリを利用する際は、出品者と丁寧にやり取りを重ね、においや商品の状態など気になる点をしっかり確認することで安心して購入できます。

中途半端な着物生活にしないために

着物を中途半端に終わらせないためには、安さだけで選ぶのではなく、少し背伸びしてでも「着たい！」と思える着物を一揃え持つことが大切です。
そうすることで、着るたびに自然と気分が上がり、着る機会も増えます。

着物を着る楽しさは値段ではなく、お気に入りかどうか にあります。自分が選んだ一枚を大切に着る時間こそが、着物生活を充実させる秘訣です。もちろん、予算を超えない範囲で選びましょう。

みつ子のアドバイス：「予算内でワクワクする一揃えを」

ここで、私自身の経験から“予算内で楽しむコツ”をお伝えします。

初心者の方は、まず「今の予算内で“ワクワクする一揃え」を見つけることから始めましょう。

私自身、これまでたくさんの着物に触れてきましたが、

たしかに、高価な着物ほど品質が良いのは事実です。上手に選べばどんな場にでも臆せず着ていけ、その点では着回し効果もあるのでコストパフォーマンスもよいのかもしれません。

たとえば同じ結城紬でも、160亀甲の地機織りと機械織りの手頃なものでは、重さやツヤ、着心地がまったく違います。

けれど、その違いにどれほどの価値を感じるかは、今現在の自分が何を求めているかによって変わります。

【具体例】

私が40代の頃に愛用していたのは、手頃な価格の結城紬でした。好みの色で評判もよく、八掛が擦り切れ張り替えるほど着たお気に入りでした。

50代後半から長い間着ずにしまっていたその着物を、70歳になってから久しぶりに出してみました。

ですが、以前のようなワクワク感は感じられませんでした。そこで、リメイクするかどうか迷いつつ、着心地を確かめるために実際に着て出かけてみました。

年齢を重ねるにつれて、生地の重さや堅さが徐々に負担になり、以前より着づらく感じるようになっていたのです。
そこですぐ決断し、その着物をカーディガンコートにリメイクしました。
元の着物の大好きな色合いとシルクの艶やかさ、紬の生地の質感はそのままに、裏を付けず軽く仕立て、今の暮らしに合った形で気軽に楽しめています。

今になって実感するのは、年齢とともに似合う色や雰囲気が変わるということ。

40代の頃はベージュやグレー、茶系など落ち着いた色を選んでいましたが、60代になるとそれらがかえって顔色を沈ませ、老けて見えることに気づきました。

洋服と同じように、着物も年齢に合わせて少しずつ見直すことが大切です。

ですから、初心者には最初から高価なものを選ぶよりも、気軽に楽しめる一揃えから始めるのをおすすめします。

そして、経験を重ねて知識が増えるにつれて、少しずつステップアップしていけば大丈夫です。

高価な着物を自由に楽しめる方は、それはそれで素敵なこと。

でも多くの方にとっては、「今の自分に合うお気に入りを楽しむ」ことこそが、着物と長く付き合ういちばんのコツだと思います。

まとめ

着物を始めるときに大切なのは、

「どこで買うか」や「いくらで買うか」だけではありません。

本当に大切なのは、限られた予算の中でも“心からときめく一揃え”を選ぶことです。
その一揃えが気持ちの支えになり、お出かけが待ち遠しくなり、自然と着物を着る時間が増えていくはずです。

また、季節や体調に合わせて無理なく楽しむことも忘れないでください。
たとえば暑い時期には、ポリエステルの着物に風通しのよい帯を合わせて、汗を気にせず軽やかに過ごしたり、デニム着物に半幅帯、洋服のアイテムを取り入れてモダンに楽しんだり。
そうした小さな工夫が、着物生活を長く続ける秘訣になります。

今は昔に比べてずっと自由に着物を楽しめる時代です。
決まりごとに縛られすぎず、自分らしい組み合わせや楽しみ方を見つけることこそ、現代の着物の醍醐味です。

どうぞ、あなたの心がワクワクする着物との出会いを大切にしてください。
それが、あなたらしい着物生活の第一歩となるでしょう。

最後までお読みいただきありがとうございました。この記事が参考になれば嬉しいです。

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