年齢を重ねると、似合う色が少しずつ変わってきたと感じることはありませんか?
若いころはしっくりきていたグレーやベージュが、今着てみると顔色が沈んで見えたり、なんだか老けた印象になってしまったり…。
でも、明るすぎる色も落ち着かないし、どう選べば良いのか悩ましいところです。
今回は、そんな私自身の体験も交えながら、シニア世代に合う着物の「色選び」や「生地の質感」について感じていることを綴ってみました。
昔の着物を活かしたい方や、今の自分に似合う色を探している方の参考になれば嬉しいです。
~今の自分に似合う色って?~
昔は「無難」だった色が、今は老けて見える!?
昔(私たちの世代が若いころ)、シニアの着物の色といえば、グレーや茶色、ベージュといった落ち着いた色合いが主流でした。
おじいさん、おばあさんは「地味めな色」という常識もありましたよね。
でも、私が70代になった今、それらの色を身につけると——
「あれ?なんだか老けて見える…!?」と感じるようになってきました。
むしろ、顔色が沈んで見えたり、気分まで落ち込んでしまうようなことも。
色の感覚って、年齢と共に変わってくるんだなぁと、実感しています。
明るくすればいいわけじゃない、が悩ましい…
では逆に、明るい色を選べば若々しくなるかというと、そう単純な話でもありません。
あまりに明るすぎたり、派手な色合いにすると、今度は自分がその色に負けてしまうような気がするのです。
そんなふうに、「ちょうどいい明るさ」の着物を探すのって、本当に難しい。
年齢に応じた上品さも欲しいし、華やかさも欲しい…これはもう永遠のテーマですね。
年齢を重ねたからこそ似合う「素材の質感」
最近思うのは、色そのものだけでなく、「素材の質感」がとても大事だということ。
同じピンクでも、上質な素材だと落ち着いて見えるし、顔まわりがふんわり明るく見えることがあります。
若い人なら、手頃な価格の素材や染めが浅い色合いでも、さらりと着こなせるかもしれません。
でも、同じような色でも、私たち世代が着ると顔うつりが悪くて、なんだかぼんやり見えてしまうこともあるんです。
やはり、年齢を重ねた肌や雰囲気には、「丁寧に作られたもの」がしっくりくるように感じます。
手間ひまかけて丁寧に作られたものほど、やはりお値段もそれなりになりますよね。
お嫁入りのときに持たせてもらった単衣の小紋です。若い頃、子育て中だったこともあり、白っぽい着物は着る機会がなく、そのまましまい込んでいました。
でも60代になって、帯や小物を年齢に合うものに替えて着てみたところ、意外にも顔まわりが明るく見えて、「あら、まだ着られるかも」と思えたんです。

着物には、私たちの“味方”がたくさんある
その点、着物は本当にありがたい存在です。
ほとんどの着物、特に私たち世代がお嫁入りのときに持たせてもらった着物には、上質な絹が使われていて、染めや織りにもたくさんの手間がかかっているものが多いと思います。
若いころに「ちょっと派手かも…」と思って着ずにいた紬、小紋や訪問着なども、今ならむしろちょうどいい華やかさに感じられることもあります。
帯や小物の合わせ方を、年齢に合うように工夫すれば——
実はとても素敵に着こなせるんじゃないかと、最近思うようになりました。
そして、プライベートのお出かけに実践しています。
写真よりも実際はもう少し黄みがかった夏紬に、シックな深緑の帯を合わせてみたら、落ち着きがありながらも明るい印象になって、年齢にもほどよく合っていると感じました。

今の私に似合うコーディネートを楽しむ
年齢を重ねた今こそ、もう一度、着物の色や質感を見直してみたい。
明るすぎず、沈みすぎず、「自分らしさ」が感じられる色。
そして、良い素材の持つ自然な照りややわらかさ。
そんな要素を大切にしながら、これからは「ちょっと派手な着物」と「年齢に合う小物」の組み合わせを楽しんでいきたいと思っています。
着物そのものを買い替えるより、小物を変えるほうが、経済的にも手軽で取り入れやすいんです。
黒い帯とベージュの帯揚げで全体をほどよく引き締めています。これくらいの組み合わせなら、カジュアルなお出かけにも無理なく馴染む装いです。

派手すぎず、地味すぎず。今の自分に似合う“大人色”で手軽に新しい一歩を。
単衣や夏物のカジュアル着物から準フォーマルな装いまで、幅広く使える“大人の色合い”の帯揚げと帯締めのセットです。落ち着いた色味で合わせやすく、一組あるとさまざまな場面で活躍してくれる万能セットです。
単衣や夏物のカジュアル着物から、準フォーマルな装いまで幅広く使える“大人の色合い”の帯揚げです。上品なぼかしが優雅な印象を与えてくれます。帯締めは袷用でも問題なく、帯揚げと同系色を合わせるだけで、簡単にまとまりのあるコーディネートが完成します。
単衣や袷のカジュアル着物にぴったりの“大人の色合い”の帯揚げと帯締めのセットです。落ち着いた色味で合わせやすく、一組あると活躍する万能アイテムです。
単衣や袷のフォーマル着物にぴったりの、大人の色合いの帯揚げ・帯締めセット。一組あれば、幅広いシーンで活躍します。
年相応な着物にはちょっと明るめな帯にビビッドカラーの帯締めを合わせるとぱっと明るい雰囲気になります!?

まとめ〜同じように悩む方へ〜
「この色、もう派手で似合わないかな…」
「年相応って、いったいどんな色?」
そんなふうに感じて、着物選びに迷うこと、あなただけではありません。
年齢を重ねることで似合う色が変わってくるのは自然なことですが、だからといって着物の楽しみが減るわけではないのです。
たとえば、派手に感じる着物はトーンを抑えた帯や小物で落ち着かせて、逆に地味に見える着物には、ビビッドな色を効かせると、パッと洗練された印象になります。
手持ちの着物を見直す視点を得られ実用的かつ経済的です。
むしろ今だからこそ、素材の質感や色の深みがしっくりくることもあり、若い頃には気づかなかった着物の魅力を改めて感じることがあります。

「ちょっと華やかすぎるかな…」とか、「なんだか地味に見えるな…」と思っていた着物でも、帯や小物の合わせ方次第で印象は大きく変わります。それが着物の持つ素材の良さ(生地の力)のおかげですね。
小物の力で、“似合わないかも”と思っていた着物が、今の自分にぴったりの一着に変わることもあるんです。
自分のために楽しむなら「今の私にちょうどいい」着こなしをどんどん試してみて、新たな組み合わせを見つけることも、着物ならではの楽しみ方だと感じています。
同じように悩みながらも着物を楽しみたいと思っている方へ。
アメリカやヨーロッパのおばあちゃんが可愛い赤やピンクの洋服を着ている感覚と同じように
これからも一緒に、自分らしい色やコーディネートを見つけて、年齢を重ねたからこその“着物の醍醐味”を味わっていきましょう。
母から譲り受けた綸子の着物です。
ほどよい光沢とやわらかな色合いが、シニア世代の肌や雰囲気にそっと寄り添ってくれるようで、とても助かっています。


フォーマルはご自身の考え方でお召になってくださいね!
最後までお読みいただきありがとうございました。この記事がお役に立てれば嬉しいです。
着付け教室を開いています。ご質問やご相談などございましたら、どうぞ遠慮なくお問い合わせください。
コメント