【チェック表付き】着ない着物、どうする?―悩まないための見極めポイントと整理のコツ

先日、友人の着物整理をお手伝いしてきました。

その友人は私と同世代で、親が用意してくれた着物や帯を「どう整理すればいいのか分からない…」と悩んでいました。

着物の整理は、一度に全部やろうとすると大変ですが、手順を決めて進めていくことで、思った以上にスムーズに進みます。

実際に友人宅で試してみて、“やってよかった!”と感じた整理の基本的な流れをご紹介します。

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目次

無理なく進めるための手順

大切な思い出が詰まった着物を、後悔のない形で見直すには、手順に沿って進めることがポイントです。

1. 整理対象を把握

整理したい着物や帯、小物などがどれくらいあるのか、大まかに確認します。

この段階ではすべてを出さなくても構いません。「この引き出しから」「このタンスだけ」など、範囲を決めるだけでも十分です。

友人は「タンス二棹分をタンス一棹に入る分だけ残す」と決めていました。

2. 作業しやすいスペースを確保

着物を広げたり仕分けたりするためのスペースが必要です。

畳の上でも構いませんが、高齢の方には立ち座りのしやすいテーブルの上がおすすめです。

事前にきれいに拭いておいた4人がけのテーブルで作業できました。

3. 「いる・いらない・迷う」の置き場所を準備

分類した着物を一時的に置いておけるように、袋や箱、または場所を分けておくことで、整理が一気に進めやすくなります。

友人は段ボール箱、ゴミ袋、隣の和室の3箇所を用意してはじめました。

4. タンスの中身を取り出してチェック

着物は1枚ずつ取り出しながら、「状態」「用途」「サイズ」などを確認していきましょう。

記事の後半に載せている「チェック表」を参考にすると、迷わず判断しやすくなります。

帯や小物も、同じように確認します。

友人は和ダンスの上段から順番に出し、残しておくものにはメモを付けて、元の場所に戻していました。

5. 残すものはセットで

着物と帯、小物など、一緒に使う予定のものはセットにしておくと便利です。

「これは訪問着用」「これは留袖と合わせて」など、簡単なメモをつけておくと後から見てもわかりやすくなります。

セットで保管できるスペースがない場合は、スマホでセットにした状態を撮って「この着物にはこの帯」とメモといっしょに保管しておけば、後で見返すときにも役立ちます。

6. いるものにはメモを

置いておく物には「誰のものか」「どんな場面で使うのか」など、メモを添えておくことで、次回の整理やご家族への引き継ぎもスムーズになります。


判断基準を決める

完璧でなくても構いませんので、ざっくりとでも「量」や「状態」についての基準を決めておくことです。

「タンス一棹に入る分だけ残す」など、自分なりの“収納量の目安”を決めておくのは、とても有効です。

迷いがちな整理作業も、スムーズに進めやすくなります。

また、収納スペースに余裕を持たせることで、着物の傷みやカビの発生も防ぎやすくなります。

友人は「量はタンス一棹分」「カビや汚れのあるものは処分」と、あらかじめルールを決めて整理しました。

仕分ける

持っている着物や帯、長襦袢、小物類を出して判断基準に沿って仕分けていきます。

清潔なテーブルの上に一枚ずつ広げると、立ち座わりの負担がなく、見極めることができます。

着物は桐の箪笥や畳紙(たとうし)に入れっぱなしだと湿気でカビが生えていることもあります。

整理作業は、天気のの良い日を選び、できれば窓を開けて換気しながら、マスクを着けて行うのがおすすめです。

当日は空気が比較的乾燥している4月後半ということもあり、着物を広げて整理するにはちょうど良い時期でした。

手放して良いもの

整理の中で「これはもう手放してもいい」と判断できる目安をいくつかご紹介します。

• カビ、シミ、虫食いなどがあるもの

 → 無理に保管すると他の着物に悪影響が出る場合も。潔く処分をおすすめします。
虫食いが生じやすいので、ウールの着物を保管する場合は正絹と別にしてください。

• サイズが合わないもの

 → 裄や身丈が大きく違っている場合は、着るのが難しくなるため処分の対象に。
若いころの着物は、袖が長く、肩まわりのサイズ(裄)が短めに仕立てられているためサイズが合わないことが多いです。

• 色柄や素材が古すぎて活用しづらいもの

 → 現代のスタイルに合いにくいものは、思い切って手放す選択肢も。
昔の着物は色合いが鮮やかなものが多く、そのままの組み合わせで着ると、今の年齢と色彩感覚では少し派手すぎて目立ちすぎてしまうことがあります。

保留にしてよいもの

すぐに手放すか決められないものは、ひとまず“保留”にしても大丈夫です。

ただし、この機会に「セットにして保留しておく」ことをおすすめします。

たとえば、以下のような組み合わせです:

  1. 着物と、それに合う帯
  2. 着物に合う長襦袢(清潔な半衿が付いていればOK。汚れている場合は半衿を外しておきましょう)
     
    ※1と2は、できれば一緒に保留しておくと安心です。
  3. 帯締め・帯揚げ
  4. 羽織やコートがある場合は、それも一緒に

1~4までが揃っていると、将来誰かに譲るときやご自身が着るときにも、迷わず使えて便利です。

見極めポイントチェック表

1. 状態チェック

チェック項目ポイント
シミ・カビ・変色・虫食いがないか表地・裏地の状態をしっかり確認
においは気にならないか湿気やカビのにおいがしないか
糸のほつれや裏地の劣化がないか裾まわりや袖口などもチェック
折ジワは取れそうかアイロンで対応できるか(プロに依頼を)

2. サイズチェック(着物の場合)

チェック項目ポイント
身丈が合っているか±5cm以内なら直しやすい
裄丈(肩幅+袖幅)が合っているか±3cm以内なら調整可能
身幅(ヒップサイズ)は足りているかヒップ+10cm以上が理想
長襦袢もサイズが合っているか着物と一緒に確認を

※サイズ直しには仕立て代がかかるため、必要かどうか、予算とのバランスを考えて決めるのがおすすめです。

3. 活用イメージチェック

チェック項目ポイント
現代でも着やすい色柄か好みや雰囲気に合うかどうか
合わせたい帯があるか手持ちの帯とコーディネートできるか
着て行くシーンが思い浮かぶか外出・行事・ちょっとしたお出かけなど
将来、孫世代が着る可能性は?受け継ぐ楽しみも視野に

残す物は「誰が・どう使うか」を明確に

「これは残しておきたい」と思うものについては、着物備忘録を作り、その理由も含めて明確にしておきましょう。

誰かに譲りたい着物なら、「誰が」「いつ」着ることを想定しているのかを書いておくと、管理がしやすくなります。

着物備忘録一例

この機会に「種類」「柄」「サイズ」「状態」「セット内容」「備考」などをメモして一緒に保管しておくと、ご自身だけでなく、誰が見ても内容がすぐにわかり、とても便利です。

種類柄や特徴サイズ状態セット内容備考(想い・誰に残すかなど)
訪問着牡丹と菊の友禅身丈160cm/裄65cm良好袋帯・長襦袢半襟付き・帯締め帯揚げ母が結婚時に仕立てたもの。孫の成人式に?
小紋細かい麻の葉模様身丈155cm/裄63cmややシミありなしサイズが合わない。サイズ直しシミ落とし検討?
黒留袖松竹梅と鶴の金駒刺繍身丈162cm/裄66cm良好比翼付き・袋帯あり
長襦袢・帯締め帯揚げ
子どもの結婚式用に保管
羽織江戸小紋風のグレー地裄65cm少し古びて見えるなし洋服にリメイクできそう

必要に応じて「処分」「保留」「残す」「譲渡予定」などのメモを欄外に書いておくと便利です。

友人も、お孫さんが将来着られるよう何枚かの着物と帯、長襦袢、小物のセットを残しました。

処分する方法

手放すと決めた着物でも、ただ捨てるだけではありません。以下のような方法もあります。

• 着物好きな知人や家族に譲る(もう一人の友人と私も帯をいただきました)

• リサイクルショップや着物買取を利用する

着物の買取をうたって訪問する業者の中には、実際には貴金属やブランド品の買取を目的としているところも多いようです。一人で対応するのは避け、十分に注意して立ち会うようにしてください。

• 状態が良ければリメイクしたり、自立支援施設などへ寄付という選択

友人には「木綿の反物をワイドパンツにリメイクしたら、きっと重宝するわよ!」と提案させていただきました。
そして、使う予定がないからと処分決定だったお母様の染帯をいただきました。私が持っていないタイプの帯だったのと、合わせたい着物がすぐに頭に浮かんだのでありがたくいただきました。コーディネートが楽しみです。

未使用の塩瀬の名古屋帯です。

まとめ

着物整理は「見極めの基準」と「準備」がカギ

  • 最初に「どのくらい残すか」「どんな状態なら手放すか」など、自分なりの判断基準を決めておくと迷いにくくなります。
  • 作業は、広めのテーブルや風通しの良い日を選び、できればマスクを着用して行いましょう。
  • 「いる・いらない・保留」の仕分けに便利な袋や箱を用意しておくとスムーズです。
  • 保留する着物は、帯や長襦袢・小物などとセットにして保管すると、後から見返すときに便利です。
  • 「種類・柄・サイズ・状態・セット内容・備考」など着物備忘録を作っておくと、誰が見てもわかりやすくなります。
  • 記事内のチェック表も活用して、一枚一枚を丁寧に見極めましょう。
  • 訪問買取業者はおすすめしませんが、利用する際は、目的が着物以外の場合もあるため、ひとりで対応せず慎重に。

着物の整理は、人生の整理!?

作業は長時間におよび大変でしたが、友人は「タンス一棹に収まる分だけ」に整理できて、とてもスッキリしたと喜んでくれました。私もその手伝いができて、本当に良かったと思います。

  • 着物の整理は、心も軽くしてくれます。
  • 大切なものを、大切に使うための見直しです。
  • 「たくさん持っている」ことより、「必要なものを大切に持つ」ことが大事。
  • 思い出を大切にしながら、これからを心地よく生きるための整理です。

着物の整理には、感情がつきものです。すぐに決められなくても大丈夫。私もそうです。

でも、「着るか・着ないか」「残すか・手放すか」という基準を持つことで、気持ちが整っていきます。

「いつか着るかも」と思っていた一枚が、誰かの新しい思い出につながるかもしれません。

未来に向けて前向きな一歩として、着物の整理を始めてみてください。

最後までお読みいただきありがとうございました。この記事が参考になれば嬉しいです。

着付け教室を開校しています。ご質問等ございまいましたら、お気軽にお問い合わせください。

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