【夏のフォーマル着物】失敗しない絽の着物の選び方とコーディネート術

暑い季節でも、フォーマルな場にふさわしい装いは欠かせません。

冠婚葬祭や改まった集まりには、きちんと感と涼しさを両立させた着物選びが大切。

今回は、夏のフォーマルな場にぴったりの「絽の着物」について、選び方やコーディネートのポイント、着用時の注意点まで、着物に携わってきた30余年の経験から大人の女性に向けてお届けします。

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目次

夏のフォーマルの基本

涼やかに、上品に、大人の女性の夏の装いが理想形です。

1.夏のフォーマル着物は「絽」で決まり

暑い時期のフォーマルなシーンでも、きちんとした装いは大人のたしなみ。

夏用の着物として選ばれている「絽(ろ)」は、生地に透け感のある織りが施された、まさに夏専用の正絹着物です。

フォーマルシーンでは、訪問着・付下げ・色無地が基本ですが、これから1枚購入するなら、絽の付下げがおすすめ。柄行きがあっさりしているので、暑さの中でも見た目に涼やかで、使う場面も幅広いです。

訪問着では少し華やかすぎるし、色無地では少し地味すぎる…そんな場面では、中間の雰囲気をもつ「付下げ」がちょうど良い選択になります。

色無地も一枚持っておくと便利ですが、濃すぎる色は重たく見えるため、淡いグレーや藤色、水色など、涼やかで品のある色を選ぶと良いでしょう。

絽の付下げにあっさりした絽の袋帯をしめたフォーマルな装いの写真

バッグは絽の生地の箱型、草履も白ベースの鼻緒と台でフォーマル感を出しています。

バッグは絽の生地の箱型、草履も白ベースの鼻緒と台でフォーマル感を出しています。

2.帯は「夏の袋帯」を軽やかに合わせて

着物が絽であれば、帯も同じく「夏用」の袋帯を選びます。

紗や絽の素材で織られた袋帯は、軽やかで見た目にも爽やか。フォーマルな場面では金銀糸が使われた帯も着用できますが、夏の強い日差しの下では華美すぎない控えめな柄と色目のものが上品です

暑さの中でも、帯の主張が強すぎないことで、全体のバランスが軽やかになります。絽の付下げや色無地と合わせて、控えめな夏の上品さを演出しましょう。

着物は嫁入り道具の絽の付下げ、帯はゑり善で着物を活かすものを誂えました。活かせる着物や帯があればどちらかを年齢に合うものに変えるのがおすすめです。

セール品を買うつもりで行ったのに、気に入ったものは割引対象外で、結局定価のものを買ってしまいました。

年齢にふさわしい一本だと思い、これから長く使えると感じて購入を決めました。

嫁入り道具の付下げでも年齢に合った袋帯を合わせてコーディネートした写真

着物の色合いにもよりますが、あまり濃い色よりも、少し控えめなトーンにするほうが、上品でフォーマルな印象につながります。

3.小物は「フォーマル寄りの汎用性」がカギ

帯締めや帯揚げなどの小物類は、フォーマル感を損なわず、それでいて他のコーディネートにも使いやすいものを選ぶのが賢い選択です。

帯締めは、淡い色合いの無地や少し光沢のあるものがフォーマルに最適。帯揚げも同様に、絽素材の白っぽい地色や淡色系を選べば、他の着物にも合わせやすくなります。

あまり個性的なものは避け、少し柔らかさのある品の良い小物を選ぶことで、着物初心者から上級者までにも取り入れやすい着こなしができます。

個性的な色を使うよりシニア世代はなじませ色がオススメです。

年齢に合った帯締めと帯揚げをコーディネートした付下げの写真

夏着物用の一揃えを持って置けば安心です。

帯揚げは、薄いクリーム色にさりげない斜め格子柄入り。帯締めには、着物の裾の緑色を取り入れて、全体のバランスを整えました。すっきりとしつつ、地味になりすぎないコーディネートに仕上げました。

4.バッグと草履も、上品で合わせやすいものを

バッグや草履は、着物の印象を左右する重要なアイテム。フォーマル向けとカジュアル向けを別々に持つのが理想ですが、着物を着る頻度が少ない方は、どちらにも対応できるデザインを選ぶと便利です。

たとえば、バッグは金銀がほんの少し入ったものやベージュ系の控えめな色合い、またはつや感のある布張りのタイプを。草履も、高さがありすぎず、落ち着いた色と質感のものなら、どんな着物にもマッチします。

見た目の印象がシンプルであれば、フォーマルな訪問にも、ちょっとした集まりにも活躍してくれますよ。

バッグはゑり善で、草履は銀座もとじで台と鼻緒を選んで作ってもらいました。

草履やバッグもあまり目立たない色柄がオススメです。

岩佐の草履は本格派でフォーマルなのにおしゃれです。

着用後のお手入れは「洗い+汗抜き」が必須!

夏の着物は、知らず知らずのうちに汗をたくさん吸っています。

そのまましまってしまうと、シミや黄ばみ、カビの原因になり、大切な着物が台無しに…。

着用後は、必ず「汗抜き」や「丸洗い」に出すことをおすすめします。信頼できる着物専門のクリーニング店で、きちんとお手入れしてもらうと安心です。

ただ、汗取りをお願いしますより、汗をかいた場所や量などをあらかじめ伝えておくと、より的確にお手入れしてもらえます。

特に正絹の絽は繊細な素材ですので、早めのメンテナンスが着物を長持ちさせるコツになります。

私の失敗談です。よかったら参考にしてください。

着付けは美しさの要「大人の女性らしいバランス」で

せっかく着物を着るなら、着付けも丁寧に。

「着慣れていないから仕方ない」ではなく、きれいに着ることが大人のたしなみです。

たとえば、おはしょりの長さや衿元の合わせ方、背中のしわなど、少しの工夫でぐんと美しく見えます。

特にフォーマルな場面では、「清潔感」と「品格」が何より大切

自分で着るのが難しい場合は、プロにお願いするのも一つの方法です。

そして着姿が整うと、自然と背筋も気持ちもピンと引き締まる——それが着物の力です。

権威性がある人や雰囲気がある人以外はどんなに良い着物を着るより着付けをそこそこ丁寧にすることがのほう重要です。

洋服に置きかえてみても、同じようなことが言えると思います。

まとめ:夏のフォーマルシーンは、絽で涼やかに美しく

夏のフォーマル着物は、「絽」の素材と上品なコーディネートで、見た目にも着心地にも快適さを。

訪問着や付下げ、色無地の中から、自分のライフスタイルに合った一枚を選ぶことで、どんな場面にも自信をもって臨めます。

汗対策と透け防止、そして着付けのバランスまでしっかりと整えれば、大人の女性らしい装いに。

今年の夏は、涼やかで品のある一枚で、着物のフォーマルシーンを楽しんでみてはいかがでしょうか。

絽の帯揚げと、夏のフォーマルシーンにふさわしい帯締めを合わせました。白い帯に合わせるため、少し引き締め感のあるレンガ色を選び、雪輪模様があしらわれたものにしています。

最後までお読みいただきありがとうございます。この記事が参考になれば嬉しいです。

着付け教室を開いています。ご感想、ご質問等お寄せください。

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