映画『国宝』を観に
今日、映画『国宝』を観に行ってきました。
まだ暑さは残る一日でしたが、8月ほどの厳しさはなく、少し秋の気配も感じられます。移動はタクシーを利用し、快適に過ごせました。
映画は噂通り、本当に素晴らしく感動的。しばらく歌舞伎からは足が遠のいていましたが、改めてその魅力を思い出し、今年の顔見世にもぜひ足を運びたいと思うほどでした。
映画「国宝」にちなんだコーディネート
せっかくの鑑賞なので、「国宝」という作品にちなんで、しっとりと落ち着いた格式を意識してコーディネートしました。
- 着物:単衣の天目染お召し。落ち着いた色調が映画館という場にもふさわしい一枚。
- 帯:上原美智子さんの夏帯。手仕事の温もりと洗練された意匠が、控えめながらも品格を添えてくれます。
- 襦袢:爽竹のマーブル模様。表に出ない部分ですが、自分の気持ちを整えるための大切なこだわり。
- 小物:帯揚げと帯締めは最後まで迷い、直前に決めました。この「どちらにしようかな」と考える時間も、着物を着る楽しみのひとつです。

天目染とは
「天目染」は絣や友禅のような技法名ではなく、主に「天目茶碗(てんもくぢゃわん)」に見られる、釉薬の流れや斑紋のような独特の文様を染色で表現したものをいいます。
着物としての天目染
- 主にお召し(織物の一種)や小紋、訪問着などに見られます。
- 上品でシックな印象を与えつつ、独特の模様が光の加減で浮かび上がり、華やかさも兼ね備えています。
- 無地に近い洒落感があるため、帯次第でフォーマル寄りにも、カジュアル寄りにもコーディネート可能です。
- 年齢を問わず着こなしやすい。
上原美智子さんの帯の特徴
上の写真の帯は草木染による淡く渋い色合い、精練しきらないシャリ感、国産春繭糸の底光りする美しさが特徴です。
上原美智子さんの帯は、沖縄の伝統と革新を融合した唯一無二の存在感をもつ逸品です。
「あけずば織」(蜻蛉の羽のような極細で薄い織り)が特に有名です。

下の帯はオールシーズンのムガシルクの帯です。同じ着物に合わせています。


着物で映画館へ行く楽しみ
私は以前から、映画館に行くときの冷房対策としてよく着物を着ていました。
夏の映画館は冷房が効きすぎて肌寒いこともありますが、着物なら冷えを防いでくれるので安心。今回も快適に鑑賞できました。
コロナ前は、きもの友達と一緒に歌舞伎シネマを楽しみ、観終わった後はランチや早めのディナーでおきもの談義するのが恒例でした。
お互いにコーディネートも鑑賞です。
着物を着る幸せ
今日改めて感じたのは、「着物を着て出かけられる幸せ」です。
テーマに合わせてコーディネートを考えること。
袖を通すときの心地よい緊張感。
そして一日を終えて「やっぱり着物っていいな」と思えること。
そんな小さな積み重ねが、私にとってはかけがえのない喜びです。
おわりに
映画『国宝』は心を震わせる作品でした。そして着物で出かけたことで、その感動はさらに深まったように思います。
天目染のお召しは派手なことはありませんが、落ち着いた濃色の中にさりげなく表情が感じられるところが魅力です。
帯を変えればいろんなシーンに着ることができる便利な一枚です。
これからも、鑑賞や食事を楽しみながら、着物の魅力を味わっていきたいと思います。
今年の顔見世には、きもの友達と一緒に観劇に行きたいと心から思える一日でした。
お召しについてよかったら合わせてお読みください。

コメント