訪問着を結婚式やお茶会などに着てみたいけれど、年齢的に派手になったり、
出し入れの手間や、着たあとの片付けを考えると、「面倒だな…」と感じてしまうことはありませんか?

今までの着物が派手に感じるようになり、60代になってから新しく訪問着を誂えるのは勿体ない気がして、レンタルを考えています。失敗しないためには、どのように選べばよいのでしょうか?



レンタル初心者でも安心して選べる、訪問着の失敗しない選び方のポイントをお伝えします。
この記事は、次のような方に向けて書いています。
• 訪問着をレンタルしたいと考えている方
• レンタルで失敗したくない方
• どの訪問着を選べばよいかわからない方
着付け講師として30年以上の経験を持ち、京都の大手レンタルショップで長年正装レンタルの接客を担当していた管理人・みつ子が、失敗しないためのポイントをお伝えします。正装レンタルの注意点やコツを知っているかどうかで、大きな差が出るので、ぜひ最後までご覧ください。
レンタルのメリット、デメリット
まずは、レンタルのメリットとデメリットをしっかり理解しておきましょう。
メリット
・購入するより費用が抑えられる
・保管やお手入れの手間がかからない
・季節やシーンに合わせて自由に選べる
・店舗でレンタルすると、着付けやヘアセットが割安になることもある
デメリット
• 好みの色や柄、ぴったりのサイズが見つからないことがある
• ネット注文では、実物の色味が写真と異なる場合がある
• 体型に合わず、着心地が悪いことがある
• 新品ではなく、使用感がある場合がある
• 返却期限があるため、ゆっくり楽しめないことがある
• 汚れや破損があると、追加料金が発生することがある
• 何度もレンタルすると、長期的には購入より費用がかさむ場合がある
• 返却が遅れると、追加料金がかかることがある
• レンタル品の内容を確認し、期限内に返送する必要がある
結論
自分の年代に合った訪問着を選ぶことが大切です。
注意点
1. HPの色味と実物が異なることがあるので、お客様ギャラリーなどで実際の着用例を確認する。
2. 無理をせず、自分の年代に似合う色から好みを選ぶ。
3. 60代には、古典的な柄を選ぶと失敗が少ない。
4. 付属品がすべて揃ったフルセットレンタルか確認する。
5. レンタルする着物が希望の日時に借りられるか確認する。(宅配サービスの場合は前後に余裕を持つ)
コツ
1. 実店舗で決める場合、レンタルショップのHPで候補を絞ってメモしておくと、スムーズに決めやすい。
2. 実店舗で試着する場合は軽く羽織って顔映りも確認する。
3. 日程が決まったら、早めに予約するとコストパフォーマンスよくレンタルできる。
4.実店舗へ 下見に行く際は、着る場所を伝えて、その場に合った着物をレンタルする。
5. レンタルショップで当日着付けを頼む場合、ヘアセットなどが割引になるプランがあれば確認して、利用する。
一度はレンタルして、プロの着付けやヘアセットに試してみてください。
きっと、今までとは違う自分を見つけられるはずです。年齢に関係なく、新しいステージが始まるチャンスですので、躊躇せずに挑戦してみてください。
これから詳しくご説明します。
予算を決める
予算を決めてレンタルショップのHPで検索する。
• 予算やレンタルできる着物の種類を調べて、レンタルショップを絞る。
• シーズン中は人気の着物が早く埋まるので、早めに調べる。
• レンタル規定や早朝料金、キャンセル料、宅配のルールを確認する。
• 店舗で着付けを依頼する場合、その料金も確認し、割引があれば利用を検討する。
• 店舗での着付けにはヘアセットや髪飾りが含まれている場合があるので、これも確認して割安になるか検討する。
• 口コミサイトやSNS、お客様ギャラリーを活用して、複数のショップを比較し、料金や着物の種類、サービス内容を見て検討する。
• たくさんのショップを見すぎると混乱するので、大手を中心に絞って選ぶ。
店舗が近くにある場合は、ぜひ予約して実際に下見に行くことをおすすめします。
実物を見て、顔映りやサイズを確認でき、着物に合った帯や小物を選べる場合があります。
色を確認する
パソコンで見ると色が実物と大きく異なることがよくあるため、お客様ギャラリーの着用例で実際の色を確認することをおすすめします。
大手のレンタルショップのHPでは、お庭で着用された例が掲載されていることが多く、実際の色がわかりやすいです。
訪問着の着用例は、あまり多くないかもしれません。
こちらは、以前勤務していたレンタル着物岡本のギャラリーです。
https://www.okamoto-kimono.com/gallery/
寸法を確認する
着物を絞れたら寸法を確認します。
自分の着物サイズが分かる人は、そのサイズと比較して、身丈の±10cm程度の差なら着付けで調整できます。
サイズが分からない場合は、以下の長さを測って確認してください。
• 裄:首の後ろのぐりぐりから肩のぐりぐりを通って、手首のぐりぐりまでの長さ
• 身丈:身長と同じ長さ
• 身幅:前幅=ヒップサイズ÷4+1cm前後、後幅=ヒップサイズ÷4+6cm前後
裄や身幅は、3cm程度の差なら着用可能です。
ただし、極端に小柄な体型やヒップサイズが大きい場合、サイズに不安がある場合は、着用可能か、ショップに相談することをおすすめします。
60代に合う色
60代の人に合う色目は
以下の基準で選べば間違いないので好みに合わせて選んでください。
落ち着きと品格を感じる色目を選ぶ
1.ライトグレー、淡いピンク、薄いブルーなどの淡いパステルカラーは上品で優しい印象を与えます。
2.深い紺色(藍色)、グレー、モスグリーン、藤色などの落ち着いた色目は年令を重ねた女性の気品を引き出し、大人のエレガンスを表現するのにピッタリです。
3.明るめのベージュやクリーム色は、肌に自然になじみ、顔色を明るく見せ派手すぎず控えめな印象を与えフォーマルな場面にも合います。
4.えんじ色や濃い紫は、落ち着いた印象を与えつつも華やかさがあり、フォーマルな場に適し、年令にふさわしい格式と華やかさを両立できます。
5.黒地の着物は柄が控えめであれば年令にふさわしいシックさを表現できます。帯や小物で変化をつけて多様な場面に合います。
6.光沢系のゴールドやシルバーの入ったデザインは、特に華やかな場に適しています。控えめながらも高級感を演出でき60代にふさわしい格式や華やかさを保てます。
色を選ぶポイント
年令を重ねると、大概、肌のトーンが変わるので、顔周りに明るい色を持って来ると肌がより美しく見えます。
このような色目を選ぶことで、60代の女性の持つ上品さや落ち着きを引き立てることができます。
できれば、実際の色目をお客様ギャラリーで確認してください。
60代に合う柄
着物の柄も60代に合う柄があります。
好みに合わせて、柄行を決める際、以下を参考にてください。
ご自身の好みにないものは飛ばしてください。
レンタルでは有りませんが私の着物で柄の意味を説明します。
1.古典柄
代表的な柄:松、竹、梅、鶴、亀、扇、桜、菊、流水、七宝
これらは伝統的で格式のあるデザインが多く、品格がある。


松と風景が描かれた訪問着に七宝柄の袋帯を締めています。改まった式典に着ていきました。
2.植物柄・草花柄
代表的な柄:梅、牡丹、椿、桔梗、藤、菖蒲など
季節を大切にした草花柄は、自然の美しさを取り入れつつ、年令にふさわしい上品な装いを提供します。
藤や桔梗など、縦のラインが強調される柄は、体型をすっきり見せる効果もあります。


四季の花々と流水、グレーの控えめな地色に金彩が入った訪問着でパーティーに出席しました。
3.幾何学模様や抽象柄
七宝柄や亀甲柄、青海波(せいがいは)などの幾何学模様は、古典的でありながらモダンな印象を与えるため、洗練された雰囲気を出せます。
特にシンプルなデザインのものは、上品さと知的な印象を併せ持ちます。
4.友禅柄や染の柄
手描き友禅や、落ち着いた色目の染の着物は、派手すぎず、趣があり非常にエレガントです。
大胆な柄よりも、繊細なデザインが年令にふさわしい穏やかな雰囲気を引き出します。
5.縦のラインを意識した柄
藤や柳など、縦に流れるようなデザインは、全体のシルエットをすっきりと見せる効果があり、60代の女性にも非常に似合います。
身長が低く気になる場合にも、縦のラインはスタイルアップに役立ちます。その場合、あまり豪華すぎない柄が良い。
6.控えめな金銀使い
金糸や銀糸を使った柄は、フォーマルな場で華やかさを保ちながらも、過度に派手すぎないものを選ぶとよいです。
控えめな光沢が上品さを引き立て、品格を保ちながら豪華さも演出します。


7.鳥や動物の柄
鶴や亀などの縁起物の動物柄も、年令にふさわしい格調高いデザインです。
派手になりすぎないよう、全体のバランスを考慮したものを選ぶとよいでしょう。
8.疋田柄(ひった)
絞り模様の一種である疋田は、細かい点描のような模様がちりばめられた柄です。
上品で優雅な印象を与え、落ち着きと華やかさをバランス良く兼ね備えたデザントなっています。
ポイント
60代の女性には、過度に華やかすぎる大柄や派手な色彩のものより、シンプルで上品な柄行が似合います。
特に、控えめな柄や落ち着いた色合いを組み合わせたデザインは、洗練された印象を強調します。
このような柄を選ぶことで、60代の女性の持つ気品や優雅さを引き立てることができます。
迷った場合は、控えめな方を選ぶと失敗がないですが、無難になります。
どちらを選ぶかは自身で判断するしかありません。
まとめ
HPなどでたくさんの着物をみてもどれが良いのか決め手に迷うのは誰しも同じです。
予算を決めてまずは実行して一歩踏み出してください。
以下のポイントを押さえて、60代にふさわしい訪問着を選ぶと、より素敵に装うことができます。
1. 年齢に適した色柄を選ぶ
式典やフォーマルな場にふさわしい、落ち着いた色合いと上品な柄を選びましょう。レンタルなら、普段と異なるイメージにも挑戦できます。
2. サイズを確認する
レンタル前に、着物のサイズをウェブサイトや電話で確認しましょう。一般的に、3cm程度の差なら着用可能です。
3. レンタル可能な日時を確認する
希望する日程でレンタルが可能か、返却期限も含めて確認しましょう。特に宅配サービスを利用する場合、余裕を持ってスケジュールを組むと安心です。
4. 早めの予約を心がける
シーズン中は人気の柄やお得なプランから予約が埋まるため、早めの予約が重要です。
5. 必要なアイテムのフルセットを確認する
着物、帯、草履など、必要なアイテムがすべて揃っているか事前に確認しましょう。多くのショップではフルセットレンタルを提供しています。
6. 信頼できるレンタルショップを選ぶ
口コミサイトやSNS、お客様ギャラリーを活用して、評判やサービス内容を確認しましょう。
7. 上品さを重視する
派手すぎず、エレガントで上品なデザインを選ぶと、落ち着いた印象を与えます。
8. 可能であれば正絹素材を選ぶ
高級感のある正絹素材は、年齢にふさわしい雰囲気を演出します。
9. プロによる着付けやヘアセットを検討する
自信がなければ、プロの手による着付けやヘアセットを利用すると、より美しく仕上がります。
これらの準備を行うことで、60代にふさわしい訪問着レンタルを安心して利用できます。
一度はレンタルして、プロの着付けヘアセットに挑戦してみてください。
きっと、いつもの自分と違うご自身を発見できます。高齢だからと躊躇せず、新たなステージの始まりです。
60代からも素敵な自由な着物ライフを楽しみましょう!
以上に上げた注意点とコツが参考になれば嬉しいです。最後までお読みいただき有難う御座いました。
着付け教室も開校しています。お気軽にお問い合わせください。
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