先日、「1,000円リサイクルショップと船場センタービル散策」というお出かけを開催しました。何かを絶対見つける、というものではなく、探せたら嬉しいね、くらいの着物好きさんたちの気軽な散策です。
その中の一人が、他社着付け教室のお仲間と一緒に上七軒の夏の集まりに着て行くものを探したいとのこと。浴衣でもいいかなってくらいでした。
みなさんとワイワイしながら、有ればいいなぁくらいの気持ちで、楽しみながらいろんなお店を巡っていました。
結果的には絽の付下げ、夏用の袋帯、夏の帯揚げ、帯締めをお見立てでき購入されました。
不思議なのですが、私は自分のものを選ぶときは冷静になれないのに、人様のものだと、まるで呼ばれたかのように手が動くんです。今回の付下げも、「この色がいいんじゃないかな」って、気づいたら手が伸びていました。
「難あり」を見極める
着物や帯を選ぶとき、実は「傷なし・完璧な状態」だけを追いかけると、選択肢はぐっと狭くなってしまいます。
今回選んだ付下げも、多少の難がありました。でも、それが「許される範囲」かどうかを見極めるのが、実は一番大事なところです。どこにどんな難があるか、それは実際に着たときに見える場所なのか、それとも気にならない場所なのか。そこを丁寧にチェックして、「これはお買い得品として十分満足いただける」と判断しました。
一緒に選ぶ、でもチェックは必ず
帯は、ご一緒した着物好きさんが見つけてきてくれた素敵なものでした。でも素敵だけでは不十分で、全部広げて、柄の位置と帯の長さを私も一緒に確認しました。
柄が付下げと着る人に合うか、長さが実際に結べる寸法かどうか。ここは「素敵ですね」で終わらせず、きちんと見る。
帯揚げと帯締めはお店を回って候補を何点か決めておいて、最終的に新品から選ぶことができました。全体のバランスを見たときに、差し色として効かせるのか、馴染ませるのか。持っているものと被っていないか、ある程度汎用性があるか、ここは経験がものを言うところだと思います。今回は多色染めになっていて出せる場所によって差し色、馴染ませ色、両方とも対応できるものを選ばせていただきました。
帯揚げはとんでもない柄付のものがあるので注意です。出ると思って買った柄が全く出ない経験があります。(泣)
「持っていないもの」を提案する
今回のご提案で意識したのは、着回しが効くことでした。すでに持っている着物や帯とかぶらない、これから先も別の機会に活躍してくれる。そういう「今持っていない種類」のものを選べたことは、私自身も手応えを感じるポイントでした。
特に夏物は出番が少なく、お手入れもしなければなりません。お得だからと言って同じようなものを数枚持つのは不経済です。
試着した瞬間にお顔がパッと明るく
サイズ感も、きちんと試着をおすすめして確認しました。お店の方が、簡易衿をつけて、実際に着付けしていただくと、お顔がぱっと明るくなって、普段も素敵な方ですが、益々女っぷりが上がったのが、傍から見ていてもはっきり分かりました。ご本人もいつもの自分と違う姿に納得のお顔。
その表情を見られたことが、何よりも嬉しかったです。そして、自分がこの見立てをできたことを、少し誇らしく感じました。お値段に関わらず、きちんと試着して顔写りを確認することはとても大事です。
お見立てで大事にしていること
言葉にするのは難しいと思っていましたが、今回振り返ってみると、私がいつも自然にやっていることは、こんな順番になっているようです。
- 難の許容範囲を見極める(見た目に出る場所か、隠れる場所か)
値段から判断する許容範囲もあります。 - 持ち物とのバランスを見る(柄・長さ・色が、他の着物や帯とも合うか)
この着物限定の組み合わせにしない。今持っているものとも合わせられるかは重要です。 - 着回し力を優先する(その日一回きりで終わらない選び方)
夏着物は特に出番が少ないのでこれは重要です。季節的にも、年齢的にも長く使えるかは重要です。 - 試着で最終確認(サイズだけでなく、顔映りまで見る)
面倒がらずに、必ず試着すること、平面で見るのと立てて実際の着姿で見るのとは驚くくらい違う場合があります。
帯も差し支えない範囲で巻いてもらい、柄位置を確認、小物も当てて貰うのが正しい選び方です。その上で、顔映りを見ます。
一つひとつは些細なことのようですが、この積み重ねが「お得なだけの一着」を「その人らしい一着」に変えてくれるのだと思います。
おわりに
お安く済ませることと、その人らしく装うことは、両立できます。今回の見立てが、それを改めて教えてくれました。
夏のお集まりに、素敵な一着で出かけられますように。
これからも、見立てのご縁を大切に、着物を通じてこんな嬉しい瞬間を増やしていけたらと思います。
最後までお読み頂きありがとうございました。着付け教室も開講しています。お問合せがございましたら、お気軽にお寄せください。

「衿元がうまく決まらない」「帯結びが苦手」——記事だけでは難しいところは、直接お教えできます。京都で着付け教室を開いています(講師:日本着装協会認定講師 みつ子)。
初心者向けの基礎科(全8回)、苦手克服のフリーコース、タンスの着物をまるごと相談できる箪笥診断、夏季限定のワンコイン浴衣レッスンもあります。
