嫁入り道具の着物をシニアが着るための注意点とコツ

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嫁入り道具の着物をシニアが着るための注意点とコツ

嫁入り道具として持ってきた着物が、箪笥の奥で眠っていませんか?
私も着付け講師という仕事柄、たくさんの着物を仕方なく手放し、寂しい思いをしてきました。
そんな中、姉の嫁入り道具の着物を譲り受けたとき、一枚の付け下げの生地の素晴らしさに感動して、思わず「着てみたい」と思ったのです。

意外とシニアの柔らかさゆえに、若い頃には派手に感じた着物も、不思議としっくりとなじみ、再び輝きを放つのです!!

姉の嫁入り道具の着物に触発され、最近ではそれらをどんなふうに着ようかと試行錯誤中です。

70代になった今は、社会的にも少し自由。誰に気兼ねすることもなく、もう、自分の好きなようにお洒落を楽しむ!ある意味、開き直りの境地です。
もう一度、袖を通してみませんか?
昭和の時代に、匠たちの情熱と誇りが込められた着物――その一枚一枚には、まさに美の粋が宿っています。

そんな大切な着物を、今こそ自分らしく、心から楽しんで輝かせるためのヒントをお届けします。

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目次

嫁入り道具の着物、もう一度着てみませんか?

昭和の時代、お嫁に行くときに持参した着物は、多くの方にとって一生ものの宝物でした。しかし、子育てや仕事で忙しい時期を経て、いつの間にか箪笥の肥やしになってしまっている方も多いのではないでしょうか。

若い頃には少し派手に見えた柄も、今の自分にはほどよく華やぎを添えてくれる。歳を重ねて心が落ち着いた分、着物の色や文様がその華やかさをやさしく補ってくれる——そんな絶妙な調和を感じられるのも、大人になった今ならではの楽しみです。

シニアになった今こそ、時間と余裕ができたチャンス。孫の結婚式、同窓会、家族写真の撮影——大切な節目に、あの頃の着物を少しの工夫でまとって出かけてみましょう。

まず確認!着る前にチェックしたい3つの

1. 着物の状態を確認する

長年保管していた着物は、カビや変色、虫食いが起きていることがあります。着る前に必ず以下を確認しましょう。

  • 虫干し:晴れた日に陰干し(直射日光はNG)で2〜3時間干す
  • 防虫剤のにおい:風通しの良い場所に数日広げておくと和らぎます
  • シミ・カビ:気になるシミやカビは、着物専門のクリーニング業者に相談を
  • 虫食い:小さな穴があれば、悉皆屋(しっかいや)に相談すると補修できることも

カビやひどいシミ、虫食いなどは他のものに影響するので清く諦めた方が良いですが、少しの裏のシミなどは着用しても問題ありません。

2. サイズが合うか確認する

若い頃から体型が変わっている場合でも、着物はある程度融通が利きます。ただし、次の点を確認してください。

  • 裄(ゆき)の長さ:腕の長さに合っているか(短すぎると手首がでて見た目が不格好)
  • 身丈(みたけ):おはしょりが十分に取れるか
  • 前幅・後幅:体幅に合っているか

大幅にサイズが合わない場合は、仕立て直し(お直し)を検討してみましょう。費用は着物の種類や箇所によりますが、1〜3万円程度が目安です。必ず、見積もりを出してください。

ただし、仕立て直し(お直し)費用をかけてまではお勧めしません。

3. 色・柄の印象を確認する

若い頃に選んだ着物は、鮮やかな色や華やかな柄のものが多いかもしれません。シニアが着ると「派手すぎる」と感じることもありますが、帯や小物を工夫するだけで印象がぐっと変わります。

正直、どんな着物も着られるとは限りません。派手すぎる着物や帯はカジュアルシーンで洋風ミックスで着ると案外大丈夫です。

洋服コートでミックスコーデ
派手な姉のウールの着物を洋服ミックスで着て出かけました

シニアが嫁入り道具の着物を着こなすコツ

年齢に合うものをお持ちの方は以下のコツが当てはまります。

コツ① 帯を変えて、今の自分に合わせる

帯を変えるだけで、着物の印象はぐっと今の自分らしくなります。

華やかな着物には、落ち着いた色の帯を合わせると全体のバランスが整います。

可愛い色の色無地はあえてカジュアルな帯で普段着として楽しむのもおすすめです。

おすすめの組み合わせ例:

  • 鮮やかな色の訪問着 → グレーや深緑など落ち着いた色の袋帯
  • 可愛い色の色無地 → あえてカジュアルダウンで普段着に
30代で誂えた柄が派手な訪問着を落ち着いた帯で着た写真
30代で誂えた柄が派手な訪問着を落ち着いた帯で着た写真
姉の嫁入り道具の付け下げに帯を年齢相応にして
姉の嫁入り道具の付け下げに帯を年齢相応にして
若い時の色無地を名古屋帯でカジュアルダウン
若い時の色無地を名古屋帯でカジュアルダウン

コツ② 帯締め・帯揚げでさりげなくおしゃれを

帯締めや帯揚げの色を変えるだけで、着物の印象はぐっと変わります。上品なゴールドやシルバー、淡いピンクなど、シニアの肌になじむ色を選ぶと顔映りが明るく見えます

可愛い色無地に大人な帯
可愛い色無地に大人な帯



また、写真のようにあえてはっきりした色柄の帯揚げや帯締めを合わせると、シニアでもカジュアルな雰囲気になり、新しい着こなしを楽しめます。

付け下げに八寸名古屋帯でカジュアルに
付け下げに八寸名古屋帯でカジュアルに

コツ③ 明る目の色も、アウターで抑える

顔まわりの印象を左右するのは、顔に一番近い着物の色です。明るめの色を選ぶと、シニア世代の肌を若々しく見せてくれます。もし少し派手だと感じたら、上から落ち着いた色のコートや羽織を重ねて全体のバランスを取ると◎です。

若い時の紬に袖無し羽織
姉の嫁入り道具の紬に私の袖無し羽織

コツ④ 草履・バッグはシンプルに

足元と手元を落ち着いたシンプルなものでまとめると、着物全体の印象がすっきり整って見えます。
草履は進化しています。クッション性のある低反発の台で、かかとが低めの歩きやすいものを選ぶと安心です。長時間履いても疲れにくくなります。
また、昔の草履は見た目がきれいでも、経年劣化していることがあります。

おろしたてでも履いているうちに底がはがれたり、鼻緒のエナメルが剥がれたりすることもあるので、無理に使わず、今の年齢に合った新しいものを選びましょう。

下の草履は「衿秀」のもので台と鼻緒を選んですげてもらいました。安定していて、お値段も手頃で訪問着から紬まで対応できます。

箱型バッグは「ゑり善」で購入し、やや、正装向きですが、夏のお出かけに着物を選ばず40代からシニアまで重宝しています。

フォーマルからカジュアルまで合わせやすい草履と夏のバッグ
フォーマルからカジュアルまで合わせやすい草履と夏のバッグ

東北の手仕事「ゆずりは」の山葡萄のバッグは底が安定するので、講師時代にはお弁当を入れてずっと愛用しました。味のある艶が出てこれからも楽しみです。カジュアル感があり、シンプルで和洋両方ともに使えるます。

東北の手仕事「ゆずりは」の山葡萄のバッグ
東北の手仕事「ゆずりは」の山葡萄のバッグ

シニアが快適に着物を着るための安全な工夫

上記の記事はコーディネートが主でしたが、着物になれた着付け講師の私でさえ、身体的に無理は禁物!

シニアになって久々に着物を着る時に気をつけるポイントです。

足元の安全対策

着物姿での歩行は、慣れないと転びやすいものです。

  • 草履は歩きやすいクッション性のあるものを選ぶ(前述の品質が良いものを一足)
  • 鼻緒が太くて柔らかいタイプは足が疲れにくい(初めて履いても痛くならない鼻緒)
  • 雨天時は雨草履や足袋カバーを使って濡れを防ぐ(撥水たびカバーで雨と汚れを防ぎ、底面も滑りにくいもの)

シニアにとって足元の安全と手間がかからないものは重要課題です。おろそかにできません!

下の雨草履は岩佐で台を選んで雨カバーをつけてもらいました。鼻緒の付け根から雨が上がってくることもなく底も滑りにくい工夫がされているので、安心です。

岩佐草履https://iwasajapan.comです。

岩佐雨草履

草履カバーより一体型が便利です。

これは便利!

草履のつま先につけられるもの(美人のつま先)を一つ持っておくと、どの草履にもつけられて便利です。私は、車や電車などで靴先が当たって足袋が汚れるのを防ぐために、乗り物に乗るときによく活用しています。

美人のつま先
美人のつま先

下駄草履はゴム底なので、雨の普段着に美人のつま先をつけて使っています。

草履下駄のゴム底

この雨カバーは、つけ外しがとても大変だったので、購入したものの一度しか使いませんでした。シニアの方には扱いが難しく、正直おすすめできません。(若い方にもおすすめしません)

つけ外しがとても大変な雨カバー
つけ外しがとても大変な雨カバー

着崩れを防ぐ工夫

年齢とともに体型も変わりますから、今の自分に無理のない着方をすることが大切です。

その上で、

  • 和装ブラジャー・補正パッドを使って、体型をカバーしながら崩れにくい土台を作る
  • 熱中症予防のため、過度な補正は避け夏はタオル補正をやめ汗取り肌着で涼しく装う
  • 帯は苦しくなりすぎないよう、着付けの際に下線を締め「一息つける」程度の締め加減
  • 長時間の着用が不安な方は、ストレッチ素材の小物を使ったり、着付け師に「楽な着付け」を相談してみましょう

汗取り肌着、くノ一麻子
これ一枚で汗取りと涼しさを叶える肌着、たかはしきもの工房の「くノ一麻子」

進化した便利グッズはどんどん取り入れることです。

この和装じめを使ってからは胸紐の苦しさを味わたことがありません。伊達締めも省略できるので助かっています。

コツがあるので自分に合った使い方を探してください。

生徒さんが使っていたので試しに購入しましたが、これが楽で便利すぎ!ワンタッチで結び目なし、ストレッチで着崩れ直しが簡単、腰紐で苦しい思いがなりました。

着物に慣れていない方へ

久しぶりに着物を着る方や、自分で着付けをするのが不安な方は、まずは着付け教室の体験レッスンに参加してみるのがおすすめです。自分に合った教室を見つけるきっかけになりますよ。


教室はちょっとハードルが高いし、着物をそれほど着るかどうかわからない人は、レンタル着物店ではヘアセット付きの着付けサービスも利用できますし、美容院でも着付けを行っているところが多いので、気軽に相談してみてください。
また、当教室でも着付けレッスンを開講しています
シニアの方にも安心して学んでいただけるよう、「楽で、きれいに見える着付け」を丁寧にお教えします。お気軽にお問い合わせください。

嫁入り道具の着物の活用シーン

せっかくの素敵な着物、特別な日だけでなく、こんな機会にもぜひ楽しんで着てみてください。

・お孫さんの結婚式
晴れの日を一緒にお祝いする場にぴったり。明るい色無地にシルバー系の帯を合わせ、嫁入り道具の留袖用の帯揚げや帯締めを使うと上品にまとまります。

・同窓会や同期会
昔の仲間に「素敵!」と言われるチャンス。少しカジュアルに着こなした付け下げがおすすめです。

・家族写真の撮影
大切な一枚を残す機会に。自分が「好き」と思える着物でのコーディネートを楽しみましょう。一段と写真映えしますよ。

・お茶会や文化的なイベント
着物が自然に溶け込む場です。洋服の中にいても浮かない程度に、ほどよく華やかな着物を選びましょう。

・初詣や節句などの行事
日本らしい季節行事には、すっきりとしながらも華やかさのある装いがぴったりです。初詣はどんな着物でも大丈夫です。


年齢を重ねると、自分の華やかさが控えめになるのは自然なこと。でも、そんな時こそ明るい色合いの上質な着物を味方にして、年相応の工夫を加えてみてください。若い頃の嫁入り道具の着物も、工夫次第で今の魅力に合わせてよみがえります。

染め替え・仕立て直しも選択肢に

思い入れがあってどうしても着たい場合はこの選択も良いですが、一旦そのまま着てみることが最優先です。

「色が気に入らない」「サイズが合わない」「柄が今の気分と違う」――そんな時でも、着物を諦める必要はありません。
・染め替え(そめかえ)
着物の色を別の色に染め直すことで、新しい印象に生まれ変わります。
・仕立て直し(お直し)今に合うかたちに
サイズの調整や裄(ゆき)を出すなど、今の体型に合わせたお直しが可能です。
・帯への仕立て替え
着物の生地を活かして、帯に作り変えることもできます。


どの方法も、悉皆屋(しっかいや)さんや呉服店に相談すれば、詳しく説明してもらえます。
なお、費用は内容によって異なるため、必ず複数のお店で見積もりを取り、費用と仕上がりのバランスを見ながら検討すると安心です。

費用はかかりましたが、絵羽模様のコートが蘇り、普段も着られる魅力の一枚に生まれ変わりました。

みつ子

姉の一度も着ていない羽織を名古屋帯に仕立て直してもらいました。

羽織から帯にリメイク

まとめ

嫁入り道具の着物は、時を経ても大切な宝物です。
少しコーディネートの工夫すれば、再び美しく輝かせることができます。
無理に着る必要はありませんが、せっかくの着物をそのまま眠らせておくのはもったいないもの。

ぜひ取り出して、顔にそっと当ててみてください。きっと、今のあなたをいっそう輝かせてくれるはずです。


「着物は難しそう」と思わずに、まずは一度箪笥を開けてみることから始めてみましょう。久しぶりに袖を通し、嫁入り道具を準備してくださった親御さんの想いを感じながら、新しい素敵な時間を楽しんでいただけたら嬉しいです。

そして、シニアにとって重要なことは着ていて楽なことや安全なことです。家で着てみて写真を撮って楽しむぐらいから初めてはどうでしょうか?

週末に箪笥をのぞいてみましょう〜!

この記事が「嫁入り道具の着物をもう一度着たい」と思っているシニアの方のお役に立てれば幸いです。

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