
これから、どんな着物を買えばいいのかしら?
年齢に合った着物を楽しみたいけれど60代からは、あまり数を増やしたくないのよね。



最近、着物を楽しみ始めた60代の知人に聞かれました。
着物の選び方をきちんと考えるかどうかで、これからの着物ライフが大きく変わります。趣味とはいえ、無駄なく賢く楽しみたいですね。
こんなお悩みお持ちの方はいらっしゃいませんか?



60代じゃない私たちにも参考になりそう!
ただでさえ高価な着物で損をしたくないもの。



賢く着物を揃えれば、その分のお金をお手入れや維持費に使えて、より良いサイクルで着物を楽しめますよね。
私も、もっと早くこのことに気づいていればよかったのに…。
でも、私の経験がみなさんのお役に立てたら嬉しいです。



着物って難しそうだし、ハードルが高いわね。ちゃんと理解できるかしら?



着物はたくさん持っているとお手入れが大変なのよ。
これからは、少ない着物でうまくコーディネートすることが大切です。
大事なのは、『どんなふうに揃えると良いか』をしっかり押さえておくこと。そのポイントをお伝えするわね。
60代になって買うべき着物
この記事は、60代で着物を購入したい方向けですが、これからコスパよく着物を揃えたい若い方にも役立つ内容です。
無理に購入する必要はありませんが、迷っている方はぜひ参考にしてください。
結論:おすすめは単衣の無地のお召です。


単衣のお召にオールシーズン使える帯を合わせて9月の装いを楽しみます。羽織もお召の単衣です。
お召という生地は透け感が少ないので、単衣としても夏着物としても活躍します。
お召とは
- お召とは、御召縮緬(おめしちりめん)を省略したものです。先に糸を染めて織っていきます。紬や木綿と同じ織の着物です。
- 「織り」の着物の中でも最も高級とされ、光沢と上品なシャリ感があります。
- お召は、織の着物の中で一番格が上で、柄ゆき(無地、縞、小紋など)によってTPOが決まると言えます。
- 観劇や食事会お稽古などに幅広く活躍でき、紋をつけたり格上の帯を合せることでパーティーなどのよそゆきなどにも着ていけます。
- お召のコーディネートとしては、礼装用のお召には礼装用の帯、普段着用には普段着用の帯を合わせます。
おすすめの理由
単衣の無地のお召は一枚でTPOの対応幅が大きい。
- 1. 一年を通して袷以外の長い期間着られる
- 2. 無地は様々な場所に着ていける
- 3. 着付けがしやすい
- 4. 手頃な価格で買える
それでは、詳しく説明します。
メリット
1.一年を通して袷以外の長い期間着られる
- 無地で格調高い地紋を選べば準礼装の色無地や訪問着レベルとしても着用できる。
- 落ち着いた色合いは洋服の中に入っても悪目立ちせず浮かない。
- 名古屋帯、半幅帯でカジュアルシーン、洒落袋帯で準礼装まで多様に対応できる。
- 無地なのでカジュアルシーンにインナーにタートルネックなど襦袢以外を合わせたり、ブーツを履いたりして着崩した着物スタイルも楽しめる。
2. 無地は様々な場所に着ていける
- 無地のお召は、透け感が少ないものを選ぶと、単衣の時期だけでなく夏着物としても着用できます。
- 特に最近は温暖化の影響で、ゴールデンウィークに真夏のように暑い日が増えてきました。結婚式や正式なパーティーでない限り、問題なく着ることができます。
- また、下に着る襦袢は袷襦袢から夏襦袢まで選べるため、自分の体感温度に合わせて調整可能です。
- 実際、私は透け感の少ない単衣のお召に単衣襦袢を合わせてよく出かけますが、全く問題なく快適に過ごせています。
これにより、さまざまな場所や場面で活躍する着物になります。
3. 着付けがしやすい
- お召は生地に張りがあるため、着付けがとても楽です。
- 織の着物でありながら、染の着物のような柔らかさもあり、美しいシルエットを作ることができます。
- さらに、染めの着物に比べて滑りにくいので、初心者でも簡単に着付けができます。
- また、一度着付けると着崩れしにくいのもお召の特徴です。
こうした特性から、着付け教室では初心者にお召が勧められることも多く、その着付けやすさが実感されています。
6月の装い:別の単衣のお召とオールシーズン帯
こちらは、先ほどとは別の単衣のお召に、同じオールシーズン帯を締めた6月の装いです。このお召は織柄が特徴で、仕立ての際に脇や衽線で柄を丁寧に合わせてもらいました。そのため、帯を袋帯に変えれば附下としても着用できる一着です。


4. 手頃な価格で購入できる
- 無地のお召は、特別高級な反物を選ばなければ比較的手頃な価格で購入できます。
- 帯合わせの幅が広く、着る機会が増えるため、一回あたりのコストが低くなります。
- 控えめなデザインなので、帯揚げや帯締めで雰囲気を変えられ、着る回数を増やせます。
- 小紋や紬に比べてカジュアルからセミフォーマルまで着用可能シーンが多く、洋服に紛れても悪目立ちしにくいのが特徴です。
- また、お召は高価なものが必ずしも良いとは限りません。自分に似合い、納得できる価格のものを選べば失敗しません。
単衣の「結城縮」との比較
単衣の「結城縮」(紬)は、先ほどのお召の10倍の価格です。ただし、軽くて柔らかく、体にしっかり馴染むため、その価値は十分にあります。ただし、着用できるのはカジュアルな場面に限られるので、お召のようにコストパフォーマンが高いとは言えません。


デメリット
お召のデメリットと対処法
お召にもデメリットはありますが、他の着物生地にも少なからず欠点はあります。ただ、コストパフォーマンスの良さを考えると、デメリットをしっかりカバーする工夫をすれば、お召を選ぶのはとても賢い選択と言えるでしょう。
防げるデメリット
お召を快適に着るために、以下の点に注意しましょう:
- 雨に弱い:お召は縮みやすいため、購入時にガード加工を施すか、縮まないかを販売員に確認しましょう。
- 生地の厚み:しっかりした生地のため、仕立ての重なる部分が少しかさばることがあります。ただし、実際にはあまり気になりません。
- 糸が出やすい:織りの生地は引っかけたり擦れたりすると糸が出やすい特徴がありますが、修理である程度直すことができます。(私も実際に経験があります)
- 少し重く感じることも:とても薄い着物と比べると少し重さを感じることがありますが、単衣なので気になるほどではありません。



これはお召に限らず、全ての着物に共通して言えることです。自分が納得できる範囲で考えてくださいね。



お召ってあまりなじみがなかったけど、扱いやすそうね。



みつ子さんの説明で少しは理解できそうだけど、そんな着物が箪笥にあるかしら・・・でも、なぜ、単衣なの?



良いところに気づきましたね!
単衣の着物を着る季節は基本的に6月と9月ですが、温暖化の影響でその時期が少しずつ長くなっています。実際、裏千家でも5月から単衣に切り替えることが推奨されています。
ウィンドウショッピングをしながら無地のお召をいろいろ見ておくと、知識が増えて選ぶ楽しみも広がりますね
具体例の紹介
透け感の少ない夏お召に夏名古屋帯
カジュアルなシーンから少し改まった席まで。6月〜8月の装いです。
このお召は無地に近い天目染めという染が入っていて織地もくせがなく帯合わせによってお悔やみにも使えます。




2023年7月に織り柄入のお召とオールシーズン名古屋帯で旅行に行きました。長時間座っていても、シワになりにくくとても助かりました。
メーカーによると、このお召しは真冬以外なら着用可能とのことです。4月にも着てみて、その着心地をお伝えしようと思います。
実際に2024年4月に着て見たところ、見た目に違和感もなく、4月から長く着用できる着物だと実感しました。 10月にも再度着て、記事に追加します。
ただ、4月は朝晩が少し冷えるので、袷の羽織を着ると安心ですね。


ベージュ系の地紋も色目も上品な透け感の少ない夏生地のお召は、カジュアルからフォーマルまでさまざまなシーンで着用でき重宝です。透け感が強すぎると着られる時期が真夏のみになるのでお勧めできません。
まとめ
たどり着いた結論
着物歴30数年の着付け講師である私、みつ子がたどり着いた結論は
60代で購入するべきは着物は「単衣の無地のお召し」です。
個人的な経験ですが、着付け教室でも、最初に揃える着物としてこの単衣のお召しを提案しています。
有名なお召しのメーカーさんによると、『着物で毎日お仕事される京都の女将さん達にも大人気』だそうです。
その理由としては、帯合わせがしやすく、着付けが簡単で、お値段以上に見栄えがすることが挙げられます。
まさに着物のプロにも認められた着物です。
やはり、60代になって新調するなら、単衣の無地のお召しが一番。特に、この記事の写真のような透け感のない夏お召しなら、着用できる期間が長くてさらに便利です。
具体的な理由
- 訪問着など、つるつるして着付けが難しい着物は、必要な時以外あまり着ないため、60代になって新調するのはもったいない。
- 週3回ほど着物を着る私が、最もよく手に取るのは無地のお召しです。着付けや帯合わせが簡単で、準備にかかる時間も短縮できます。
- 作家物やブランド品でなければ、価格の割に見栄えが良いです。
- 単衣の無地お召しは長い期間着用でき、帯を変えることでTPOに幅広く対応可能です。
- シャリ感があるので着付けしやすく着崩れしにくいです。
- 名古屋帯や半幅帯を合わせてカジュアルにも、洒落袋帯で準フォーマルにも対応できます。
- 小紋や紬のような模様入りの着物よりも飽きが来ず、年齢的にも長く、幅広く着ることができます。
- 最近の傾向として、洋服調の落ち着いた色合いが主流なので、洋服に混じっても悪目立ちしにくいです。
- 染の着物に見られる季節限定の柄(桜、菊、紅葉など)がないため、袷の時期以外、季節をを気にせずに着られます。
- リサイクルショップで探すより、自分のサイズに合った、年齢にふさわしい色味の一着を納得の価格で誂えるのがコスパも良く、得策です。
- 一日中座っていても皺になりにくく着物ハンガーにかけておくと一晩でもとに戻るものもあります。
持ち物を少なくし、コスパの良い着物ライフを楽しみたい方には単衣の無地のお召しが断然おすすめです。



確かに、一着作るなら単衣のお召しが良さそうね。
さらに、進化した洗える正絹のお召しなら、汚れを気にせず着られるので、お手入れの費用も節約でき一石二鳥ね。
私も、どんな着物を買うべきか見えてきたわ〜。



着付けだけでなく、お手入れや維持の手間も、年を重ねるとできるだけ減らしたくなりますよね。
無地のお召しにオールシーズン対応帯を合わせて、今の時代に合った、手軽でコスパの良い着物ライフを楽しみたいものです。



これから、着物を購入しようとしている若い私達にもお召しのコスパ良さは当てはまるわね!
帯次第で幅広い年齢層に対応できるのも有り難いわ。



若い人も友人の結婚式や披露宴にドレスではなく着物で出席できれば、流行を追わずに済みコスパが良い選択になるわね。
そんな時は、無地のお召しに華やかな洒落袋帯を合わせ、パールの帯留めでエレガントに仕上げれば上品に決まります
普段着からフォーマルまで使える、軽くて上品なコットンパールの帯留めは、三分紐を替えることで様々なシーンで活躍します。
こちらはあくまでおすすめの色です。雰囲気を参考にしていただき、実際に顔に当ててみてから購入を考えてください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。この記事が参考になれば幸いです。
また、着付け教室も開校していますので、ご質問などがありましたらお気軽にお問い合わせください。
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