シニア世代こそ、少し派手な着物を！〜老け見えを防ぐ華やかコーデのすすめ〜

はじめに

「その着物、落ち着きすぎていませんか？」

年齢を重ねると、着物選びにも「年相応に」とか「落ち着いた色を」といった気遣いが出てきますよね。でも、そうして選んだ着物を実際に着てみたとき、「なんだか老けて見える…」と感じたことはありませんか？

実は私もその一人。地味な色の着物を着てみたところ、自分の顔色が沈んで見え、気持ちまでトーンダウンしてしまった経験があります。

シニア世代こそ少し華やかな着物を取り入れることで、より生き生きと見えるというお話をしたいと思います。

なぜ地味な着物が老けて見えるのか？

「落ち着いた色＝上品、ではないことも」

一般的に「年齢を重ねたら落ち着いた色を」と言われがちですが、実際は肌の色や髪のツヤ、顔立ちの印象が変わってくる分、くすみ系やグレー系の着物が顔色を暗く見せてしまうことがあります。

若いころには似合っていたベージュやグレーの着物も、今着てみると「地味すぎる」「顔がぼやける」と感じてしまうことがあるのは、そのためです。

地味な着物＝上品、というイメージは大切にしたいですが、今の自分を明るく見せてくれる色柄を選ぶことも、年齢を重ねた今だからこそ大切にしたい視点です。

紅花紬はもともと温かみのある華やかな色合いなのですが、帯の選び方によっては落ち着きすぎて見えることもあります。

シニア世代におすすめの“少し派手な”着物とは？

 「華やかさは若作りではなく“いきいき感”」

「派手な着物」と聞くと、若い人向けのピンクや大柄のものを想像してしまうかもしれません。もちろん大柄な模様も素敵ですが、ここでいう“派手”とは、艶やかさや華やかさを感じさせる色柄のことです。

たとえば、

• 地色に艶感のある赤系や緑色
• 柄に余白があって抜け感のある染め模様
• 絞りやぼかしなど、動きのあるデザイン　
  など

こうした華やかさは、顔色をぱっと明るく見せてくれて、“若々しさ”ではなく“いきいきとした雰囲気”を与えてくれます。

タンスの中に眠っている着物の中にも、今の自分に似合う「ちょっと華やか」な一枚があるかもしれませんよ。

着物と帯・小物のバランスのコツ

「派手 × 控えめで、大人のおしゃれが完成」

着物を少し派手にするなら、帯や小物はあえて落ち着いた色合いでまとめると、全体に上品なまとまりが生まれます。たとえば、華やかな色柄の着物には、

• 黒や
• 濃紺、
• 深緑、
• 銀鼠、
• ベージュなどの控えめな帯がよく合います。

逆に、地味な着物を着る場合は、帯や帯揚げ・帯締めでアクセントを加えると一気に華やぎます。

• 柄物の帯や、
• 艶のある帯締め、
• 明るめの帯揚げ

を選ぶのもおすすめです。

大切なのは、どこかに“遊び”や“彩り”を加えること。着物・帯・小物のうち、どこを主役にするかを意識すると、バランスよくまとまります。

華やかな丸い色柄の着物にベージュの幾何学的な帯でバランスを取りました。

地味なグレーの付下げに白の帯とレンガ色の帯締めで明るさをプラスしました。

新たに買わなくても大丈夫！手持ちで楽しむ工夫

「タンスの中に、まだ眠っている一枚があるかも」

シニア世代の着物は新調しなくても、手持ちの着物や帯、小物を見直すだけで、新しい魅力が生まれることがあります。

たとえば、

• 今まで組み合わせたことのない帯をあわせてみる
• 小物の色を変えてみる
• 着方や帯結びを少し変えてみる

など、小さな工夫で「意外とこれ、似合うかも！」という発見があるものです。

そしてなにより、新たにあつらえず、今ある着物を活かして、暮らしの中で無理せず、自分らしい着姿を見つけていく。それが、年齢を重ねた私たちの着物との素敵な向き合い方だと思います。

憧れのサリーから作られた半幅帯を着物好きの知人からいただきました。

上記と同じ紅花紬ですが、今まで合わせたことがない帯と帯締めのコーディネートで、テンションが上りました。

紅花紬は元々明るさのある着物ですが、帯の選び方で地味にも華やかにも変わることがおわかりいただけると思います。

妹が若い頃に仕立てて、未着用のままだった着物です。眠らせておくのはもったいないので、洋服と合わせてコートを羽織り、気軽にお出かけしてみましたが、違和感なく楽しめました。

姉の少し派手な紬を洋服とミックスしてお出かけしてみました。実際に着てみると、顔映りが明るくなり、とても華やかな印象に。まさに、老け見えを防ぐ華やかコーデの効果を実感できました。

ただ、裏地の黄変が目立つことや、着る機会が意外と限られてしまうことも正直なところです。しっかりした生地でコートに向いているイメージがあったので、普段使いしやすいようにリメイクすることにしました。

やはり、一度実際に着てみることで、こうした判断ができるのだなと改めて感じました。

母の大柄の大島紬です。かわいいドット柄の半幅帯をカルタ結びに。ベルトを帯締めにして洋服ミックスでお出かけしました。

6. まとめ

派手＝若作りではなく、年齢を重ねた魅力

「年相応の地味な着物」を選んでいるつもりが、実は自分を必要以上に老けて見せてしまっていることもあります。

だからこそ、シニア世代には少し華やかな着物がよく、それは若作りではなく、年齢を重ねたからこそ出せる深みや優しさ、凛とした美しさがあるからです。

こうした華やかさは、顔色をぱっと明るく見せてくれて、“若々しさ”ではなく“いきいきとした雰囲気”を与えてくれます。

眠っている着物、まずは一度袖を通してみませんか？

• 帯や小物で冒険してみるのも良いですし、
• 洋服ミックスでカジュアルに楽しむのもおすすめです

「自分で素敵だと思える」その感覚を大切にして、着物のおしゃれを楽しんでみませんか？

私は派手な色でも洋服のときと同じように考えてコーディネートしています。

案外、そこにヒントがあります。

最近、「ご自身やお母様の着物がタンスに眠っていてどうしたらいいかわからない」というお声をよく聞きます。

せっかく素敵な着物があるのですから、少々派手でもぜひ気軽にどんどん着て楽しんでいただきたいと思い、このことを記事にしました。

個人で着付け教室を開いています。お力になれるかわかりませんが、お悩みなどございましたらお寄せください。

最後までお読みいただきありがとうございます。