みつ子着物のコートについてお話しするとき、
まず一番にお伝えしたいのは「寸法の大切さ」です。
着物の上に着るコートは、着物よりも袖丈が短いと見た目が美しくありません。
袖が中途半端に覗いてしまうと、せっかくの着姿がちぐはぐに見えてしまいます。
コートは「羽織ればいいもの」ではなく、着物とのバランスがとても重要です。
コートにはおしゃれ用と礼装用がある
着物のコートには、
・おしゃれ用
・礼装用
という使い分けがあります。
ただ、最近は以前ほど厳密に分けず、汎用性の高い一枚を仕立てる方が増えました。
きちんと感がありつつ、普段のお出かけにも使える。
そんなコートが選ばれる時代になっています。


昔は「コート地」、今は「着物地」から作ることも多い
以前は、コートは**コート専用の生地(コート地)**から作るのが一般的でした。
コート地は、
- シワになりにくい
- 生地に張りがあり、形がきれい
- 風や寒さを防ぎやすい
といった特徴があります。
実際、私が嫁入りの際に親に用意してもらったコートもコート地で、
小紋地とは質感の違いがはっきり分かります。


ただ最近は、
小紋地やお召しの生地からコートを作ることも多くなりました。
「そこまで素材を追求しなくてもいい」という考え方が広がってきたのも事実です。


衿の形は好みで選んでいい
コートの話になると、必ず話題になるのが衿の形。
最近は、着物と同じような合わせ方をする衿が人気ですが、
私は昔ながらの道行衿がすっきりしていて好みです。


道行衿は、
- 衿元が崩れにくい
- 裾の方までホックで留められる
- 風に煽られてめくれ上がりにくい
という点で、実用性もとても高いと感じています。
とはいえ、これはあくまで好み。
どちらが正解ということはなく、自分が着やすい衿を選べば十分です。
コートは一年中必要なも
着物のコートは、冬だけのものではありません。
季節に合わせた素材で、一年を通して使われます。
- 透ける 羅(ら)のコート
- 単衣のコート
- 袷のコート
最低でも、この3パターンはあると安心です。
洋服でも、上に着るコートほど「良い生地」が好まれるように、
着物のコートも一枚良いものを持って着回す方が、結果的にコスパが良いと感じています。


まとめ
着物のコート選びで大切なのは、次のポイントを実際に確認して選ぶことです。
- 寸法が合っていること
着物の袖がコートの袖口から出ない長さか、羽織ったときに肩や背中が突っ張らないかを必ず確認します。 - 着物との格のバランス
小紋や紬には普段使いしやすい生地感のコート、
少し改まった場には、張りのある落ち着いた素材のコートを。
「どの着物に一番合わせるか」を想定して選ぶと失敗しません。
ただし、最近は両方に対応できるコートを持つ人が多い傾向です。 - 素材と季節感
防寒目的の袷コート、軽さを重視した単衣コート、夏用の透ける羅や紗のコート。
最低でもこの3種類を揃えておくと、季節ごとに無理なく着回せます。 - 衿の形と使い方
衿元をすっきり見せたいなら道行衿、
軽やかに羽織りたいなら着物衿。
雨ゴートやロングコートなど、風に煽られやすい場面では、裾近くまでしっかり留められる道行き衿のほうが実用的です。
流行や「こうあるべき」に縛られるよりも、
自分がよく着る着物・出かける場面・体の動かしやすさを基準に選んだ一枚の方が、結果的に出番が多く、長く愛用できます。
着物のコートは、数を持つより
「本当に使える一枚」を育てていくものなのかもしれません。










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