【着物リメイク】派手すぎて着られなかった着物が…お気に入りのコートに生まれ変わるまで!

みつ子

着物に携わって30数年の私が派手で着られなくなった着物を活かしたいと思い試行錯誤した記事です。

私は着物に関わる仕事をして派手な着物は処分したり、染め直して着たりしていましたが、

姉から嫁入り道具の一度も着ていない「もったいない着物」が、

たくさん送られてきたときには、どうしようかと悩みました。

多くの方が、同じような悩みをお持ちではないでしょうか?

今回は、その中の一枚をリメイクするまでに至った経緯を、

心の整理をどんなふうに進めていったのか、そして実際にどんな手順でリメイクしたのか。悩みながらも少しずつ前に進んだその過程や、変化のビフォーアフターを、私自身の体験を交えてお伝えできればと思います。

実際、着物の染め直しについても多くのご相談や事例があり、古い着物を新しい色や雰囲気に生まれ変わらせる方法の記事もご紹介しています。

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目次

リメイクまでの手順

1.リメイクするか判断する・・・リメイクする着物の候補を上げるだけで良い

2.一度着てみて納得して決める・・・なんとか着物として活かせるか再考する

3.反物に戻し洗いアイロン・・・リメイク決定後は縮具合を確認してリメイクに向くか確認する

4.デザインを決める・・・生地の厚みや量を鑑みて決める(縫製者に相談しながら)

5.縫製を依頼・・・間違いのないように細かくやり取りをし生地を送る(今回はオンラインなので念入りに)

6.出来上がりを楽しむ・・・仕上がったコートを着て出かけ楽しむ。不具合などないか確認しあれば伝え直してもらう。

実例

リメイクするかどうかの判断

メルカリに出品するも断念

以前、しつけがついたままで、裏地も真っ白できれいな状態の姉の紬をメルカリで出品したことがあります。送料や手数料を差し引くと、売上は4,650円ほどでした。

今回の紬も、しつけつきで匂いもなく、表地はとてもきれい。でも、裏地にかなりの黄ばみがありました。

同じ価格でいったんは出品してみたものの、「自分が買う立場だったら、この値段では買わないかも…」と思い直し、出品を削除しました。

沢山の人に見てもらえるメルカリですが、「価格を下げて安く売りさばく」ようなことはしたくない、という思いがありました。

ただ手放すのではなく、納得のいく形にしたいと感じメルカリは断念し、リメイクすることにほぼ決まりました。

一回でも着て出かける

どう見てもそのまま着るには派手すぎる気がしました。

最近は、洋服ミックスを楽しんでいるので、リメイクする前にそのコーディネートで出かけてみることにしました。

中に黒いブラウスを合わせて、帯は半幅帯に。足元は黒の革スニーカーでカジュアルダウンしてみました。

今風に着こなせる楽しさはあるのですが、それでも「やっぱりこのまま着続けるのは難しいな」と感じ、リメイクすることにしました。

リメイクに決定したらやること

デザインを決める

リメイクすることを決めて、まずはどんなデザインが良いか考えました。

作ったからには着られないと意味がありません。

縦のストライプ柄だったので、「これはコートが合いそう!」とすぐにアイデアが浮かびました。

ただ、コートにするには生地が薄すぎるかも…と少し心配もありましたが、

実際に触ってみると、意外としっかりした紬だったので、コートに決定。

ちょうどその頃、着物リメイクの縫製の方とご縁があり、

その方が提案してくださったコートのデザインでお願いすることになりました。

具体的な提案があり助かりました。

ほどいて洗ってアイロン

着物をリメイクする前には反物に戻して洗ってアイロンを掛け、縮み具合を確認する必要があります。

業者に依頼すると費用がかなり掛かるのと縮み具合が確認できません。

きれいに仕立てられている着物をほどくのは、やっぱり「もったいないな…」という気持ちがあって、

正直、気持ちの上でもあまり前向きになれませんでした。

でも、「このままただタンスに眠らせておくよりは、きっと良いことなんだ!」と自分に言い聞かせて、ほどくことにしました。

実際にやってみると、ほどく作業は意外と手間がかかりました。

洗って、アイロンをかけて――その過程で生地がどのように縮むか

リメイク前後の状態をしっかり記録することにしました。

この生地はそれほど縮みがなくリメイクに適していると判断しました。

リメイク本によると、長さが5cm以上縮むとリメイクには適さないそうです。

 リメイクを依頼

仕立てをお願いする方とのやりとりでは、デザインがすでに決まっていたので、

私のバスト・ウエスト・ヒップのサイズをお伝えし、標準的なLサイズで仕立ててもらうことにしました。

生地の用尺がわからないので着物の生地はすべて送って、縫製をお任せしました。

出来上がったコートを受け取って、さっそく羽織ってみると…とても軽くて、着心地も抜群!

便利なポケット付きでボタンは留めやすい大きめのスナップです。

「リメイクして本当によかった」と心から思える仕上がりでした。

メリット

着物では派手でも、コートになると不思議としっくりくる


1. 洋服としての「面積感」が違うから

着物は全身を包むように着るため、派手な柄が強く印象に残ります。

でもコートになると、シルエットも丈も変わることで、柄が程よく“抜け感”を持ち、目に優しく感じられるのです。


2. 現代のファッション感覚にマッチするから

今の洋服のトレンドは、意外と大胆な柄や和モダンも受け入れられる時代。

一見派手な着物も、現代の街並みに混ざると「おしゃれな柄のコート」としてなじみやすくなります。


3. 年齢とのバランスがとりやすくなるから

着物だと「華やかすぎるかな…」と気後れする柄も、コートになるとむしろ肌映りを明るくし、

“顔まわりがパッと華やぐ”効果が出やすくなります。

結果的に、上質な生地の艶が年齢をカバーしつつ元気に見せてくれるのかもしれません。

着る機会がぐっと増えたこと

1. 洋服感覚で気軽に羽織れるから

着物は着付けや小物の準備が必要でハードルが高いですが、コートになればサッと羽織るだけ。普段の外出や買い物、ちょっとしたお出かけにも気軽に取り入れられます。


2. 季節に合った実用性があるから

リメイクしたコートは「単衣の軽さ」と「紬のハリ」があって、春・秋のちょっと肌寒い時期にぴったり。ちょうど着たくなるタイミングが多いのも理由のひとつです。


3. 洋服と相性が良いから

洋服とのコーディネートがしやすく、いつもの装いにプラスするだけで「ちょっとおしゃれ」な印象になるため、つい手が伸びます。


4. 人と違うおしゃれを楽しめるから

「一点もののコート」という特別感があり、他の人とかぶらないおしゃれが楽しめるのも魅力。着ている自分にもちょっと誇らしさが生まれ、外に出たくなる気持ちを後押しします。


5. 思い出が形を変えてそばにあるから

思い入れのある着物が、形を変えて再び日常に戻ってくると、「せっかくだから着よう」という気持ちも高まります。使わなきゃもったいない、という前向きな気持ちも原動力になる。

デメリット

たくさんリメイクしても着きれない、という現実

1. リメイクしても“今の暮らし”に合わない場合がある

せっかく素敵に仕立てても、フォーマルすぎたり、デザインが好みや生活スタイルに合わなかったりすると、出番が減ってしまいます。


2. 着る場面(TPO)が限られる

「おしゃれ着」「お出かけ用」として作ったものの、実際にはそんな機会が少なかったり、他の洋服の方が便利で着やすかったりすることがあります。


3. 気に入ったものばかりを着てしまうから

人はどうしても“お気に入り”や“着やすい”ものを優先しがちです。似たようなリメイク服が複数あると、結局よく着るのは1〜2着に絞られてしまいます。形が変わっただけでタンスの肥やし状態ですね。


4. 手入れや管理の手間があるから

大切な着物をリメイクした服は“特別感”がある分、丁寧に扱いたくなり、洗濯や保管に気を遣うため、気軽にヘビーローテーションできないこともあります。気軽に扱えないと心身ともに疲れますね。


5. 思い出が強くて“観賞用”になってしまうことも

親の形見や大切な思い出のある着物からのリメイクだと、「汚したくない」「気軽には着たくない」と感じて、実用性よりも保存重視になってしまうことがあります。かけた費用がもったいないです。

対処法

だからこそ「着られるデザインを選ぶ」ことが大切


1. 実際に着る機会がなければ、リメイクの意味が薄れてしまう

「日常に溶け込むデザイン」であれば、自然と手に取りやすくなり、リメイクが生きたものになります。


2. 気負わず着られることが、長く愛用できる秘訣

“特別な日にだけ”ではなく、“普段のお出かけや買い物に。

着やすさ・合わせやすさ・お手入れのしやすさを考えたデザイン選びが、実用性を高めてくれます。


3. 自分のライフスタイルに合った服でないと、結局手が伸びなくなるから

たとえば、車移動が多い人にとっては長すぎる丈は不便だったり、

孫と遊ぶ機会が多い人には動きやすさが重要だったりと、自分の暮らしに合った形にすることが大切です。


4. 好みの変化や年齢の変化にも対応しやすくなるから

「今の自分が心地よく着られる」ことを優先すると、年齢や環境の変化にも無理なく対応できます。

一時の流行よりも、自分らしくいられるデザインが◎。


5. 少ない枚数でも“着回せる”デザインなら、リメイクはもっと有効に

何着も作るより、着回しできるお気に入りが1〜2着ある方が満足度が高いという声も。

だからこそ、「作ること」より「着ること」を意識したデザイン選びが重要になります。


このように、「着られること」を前提にデザインを選ぶことで、リメイクが本当に活かされる一着になります。

少しずつ、楽しみながらリメイク

着物のリメイクは、一度にたくさんやろうとすると疲れてしまったり、結局着ないものを増やしてしまうことも。

だからこそ、「少しずつ」「本当に着たいと思えるものだけ」を選んで進めていくことが、心地よいペースです。

たとえば──

  • まずは、タンスに眠る着物を一度羽織ってみて、「今の自分が着られるかどうか」を確かめてから、リメイクを考えると納得感があります。
  • 気になる着物から「1枚ずつリメイク」してみる。  すべてを一度にやろうとせず、「これなら今の暮らしに合うかも」と思える1枚からスモールスタート。完成したときの感動が、次の意欲にもつながります。
  • 楽しみながら「自分らしいデザイン」を探す。 自分に似合う形や色のイメージをインスタグラムやネットで調べ参考にしてみる。
  • 暮らしに合うペースで進めることがいちばん  無理なく、楽しく。何年かかっても、少しずつ気に入ったものが増えていくリメイクなら、日常に豊かさが加わっていきます。

同年代の友人などとリメイクの話をすると案外情報が得られて良いかもしれません。

まとめ

「派手な着物」も、見方を変えれば新しいお気に入りになる

タンスに眠っている着物。

「派手すぎる」「似合わない」「古くさい」──そんな理由で、ずっと着ないままになっていませんか?

でも、その着物、本当に“着られない”のでしょうか?

ほんの少し見方を変えるだけで、実は素敵な一着に変わるかもしれません。


1. 「着物としては派手」でも、洋服なら“ちょうどいい”

着物は一枚で全身に柄が出るため、派手に見えがち。でも、リメイクしてコートやワンピースになれば柄の分量が減り、華やかさが“魅力”に変わります。


2. 昔は似合わなかった色も、今の自分にはしっくりくることがある

若い頃には「落ち着きすぎ」と思っていた着物が、年齢を重ねた今ではぴったりだったり。逆に「派手すぎる」と思っていた柄が、今の自分に明るさをくれることも。


3. 思い出の着物も、“今のかたち”にすることで活かせる

親の着物や、若い頃に誂えたものも、「このままでは着ない」けれど、「形を変えたら着られる」というケースはたくさんあります。

リメイクは、思い出を“今の暮らしに馴染ませる”方法です。


4. 「着られない」と決めつけず、まずは羽織ってみることから

実際に着てみると、「あれ、思ったより似合うかも?」と驚くことも。気軽に羽織って、鏡の前で遊んでみるだけでも、新しい発見があります。洋服ミックスなども試して見てください。


5. 新しいデザインで“お気に入り”に生まれ変わる

今の自分の生活スタイルや好みに合った形にすることで、まったく新しいお気に入りになります。

「この生地がこんなに素敵だったなんて!」と再発見する喜びも、着物リメイクの大きな魅力です。

大切なのは、“自分が納得して楽しめる形”にすること

着物をリメイクするとき、

「どんなデザインにするか?」「誰に見せるか?」「間違ってないか?」など、いろいろ悩んでしまいがちです。

でも一番大切なのは、「自分が納得して、気持ちよく着られるかどうか」かもしれません。


1. 誰かの正解より、自分が「着たい」と思えるかどうか

雑誌やSNSで見かける素敵なリメイクも、実際の自分の生活や好みに合わなければ出番がなくなってしまいます。

「自分らしくて、着たくなるデザインかどうか」が選ぶ基準になると、無理なく楽しめます。


2. 納得するまで試してみることが、失敗しない近道

着物として一度着てみる、洋服に仕立てる前に他の人の作品を見てみる──

そうした“試し”の積み重ねが、自分に合った選択につながります。


3. 「もったいない」という気持ちに区切りをつけるためにも

手間をかけてリメイクするからこそ、「やっぱりこれにしてよかった」と思える形で使いたいもの。

“気持ちの整理”の一つとして、自分が納得できる形を選ぶのは大切なプロセスです。


4. 着物リメイクは、自分の人生や思い出を大切にする行為

だからこそ、“楽しむ気持ち”がなにより大事。

完成した服を着た自分を思い浮かべてワクワクできるか、それが「その一着にするかどうか」の判断軸になってもいいのです。

最後までお読みいただきありがとうございます。この記事が参考になれば嬉しいです。

着付け教室を開校しています。お気軽にお問い合わせください。

この記事を書いた人

みつ子
着物を楽しむ日々を発信中。リメイクやコーディネート、着付けの工夫などを綴っています。
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