
綿着物は気軽に楽しめるけれど、コーディネートする帯は半幅帯くらいしか思い浮かばなくて…。名古屋帯をあわせても大丈夫かしら?



シニア世代には、綿の着物に名古屋帯を合わせることで、ぐっとおしゃれを楽しめます。今回は、心も体も楽に過ごせる、和洋ミックスのコーディネートをご紹介します。
長年着物に親しんできた私ですが、71歳になった今は、洋服と着物を組み合わせたコーディネートを楽しみながら、日々工夫を重ねています。そんな私の経験が、どなたかのお役に立てたら嬉しいです。
綿着物に合わせるの帯は?
「綿着物はお手入れも気軽だし、もっと楽しみたいけれど、半幅帯しか締められないの…?」
そんなシニアに向けて、今回は 同じ名古屋帯を使った綿着物のコーディネート2パターンをご紹介します。
合わせるのは、遠州木綿とデニム着物。どちらも洋服感覚で着られる、普段使いにぴったりなおすすめ綿着物です。
その他の綿着物にも応用できますので最後まで御覧ください。
1本の帯で変化を楽しめるコーディネートの工夫を、写真とともにご覧いただければと思います。


気軽なお出かけの場合で、ブラウスの上に綿着物、帯締めはベルト!など、洋服ミックスコーデです。その場合、お太鼓を小ぶりにするのがバランスをよくするコツです。
銀座結びが難しい場合は、小さめの帯枕を使うか、腰紐で代用して、普段通りのお太鼓結びにしても大丈夫です。
今回とは違う帯ですが、銀座結びで洋服ミックスコーデにしました。
綿着物は「着付けしやすさ」と「親しみやすさ」が魅力
綿着物は、生地がすべりにくい「着付けしやすさ」と、見た目もきちんとしすぎない「親しみやすさ」が良いところ。特にデニム着物は意外性から「素敵ね」と声をかけてもらいやすいようです。
- 木綿は肌触りがよく、動きやすくて疲れにくい
- 洗える素材が多く、お手入れも気楽
- 「頑張ってる感」が出にくく、周囲からも親しみを持たれやすい
- 透けないので、肌着や襦袢に気を使わなくても良い
特別なお出かけではなく、日々の暮らしの中に自然と溶け込むようなデニム着物や綿着物は、年齢を問わず心地よさを感じさせてくれます。
下にブラウスとユニクロのリラコに補正なしでも着崩れを気にすることなく心身ともに気楽です。


【コーデ①】遠州木綿 × 名古屋帯のやさしい装い
遠州木綿は、静岡県で織られている伝統的な木綿生地で、素朴な縞や格子柄が多く、どこか懐かしさのある雰囲気を持っています。
縞や格子柄が多い中、私は木綿専門店で、薄茶にブルーの細かい点模様が入った遠州木綿を選びました。汚れが目立ちにくく、無地に近い方が帯を合わせやすいと思ったからです。


ほんのり赤みを感じる遠州木綿に、落ち着いた色調の染め名古屋帯を合わせました。帯の模様がやわらかく主張しすぎないので、着物の風合いを引き立てつつ、全体を優しくまとめてくれます。
- 優しい色合いの遠州木綿と、染め帯の柔らかさが好相性
- どこか懐かしさを感じるような、和やかな雰囲気
- お友達とのお茶やショッピングなど、気軽なお出かけにぴったり
洋服に混じっても馴染む装いです。
色調が同じベージュのブラウスに遠州木綿&染名古屋帯で家計管理の勉強会に参加しました。
余談ですが、家計管理を学んで、着物はリセール(売却)の面であまり値がつかないことを実感しました。ただ、これまで購入してきた着物や帯は、手放したとしても、着物を楽しむために十分役立ってくれたと思っています。これからはリセールのこともふまえて、着物を楽しんでいかなければならないと感じました。


阿波しじらも気軽でモダン、帯合わせがしやすいデザインを選ぶとコストパフォーマンスが良いです。
あわしじら(阿波しじら)とは
• 阿波しじらは、徳島県の阿波地方で生産される木綿織物です。
• 最大の特徴は「シボ」と呼ばれる独特の凹凸(しわ)で、経糸と緯糸の張力差を利用して生地表面に自然な凹凸を生み出しています。
• このシボのおかげで、肌に張り付かず、軽くて通気性が良く、汗ばむ季節でも快適に着られます。
• 主に春から秋(5~9月)に単衣(裏地のない一枚仕立て)の着物や浴衣として用いられ、普段着や夏物の衣料として親しまれています。
【コーデ②】デニム着物 × 名古屋帯でほんのりモダンに
同じ帯を、今度はデニム着物に合わせてみました。
「デニムだとカジュアルすぎるのでは?」と思う方もいるかもしれませんが、生地がしっかりしていれば、大人っぽく落ち着いた印象になります。ジーンズと同じように、質感や仕立てで印象が変わります。ただ、あまりに安価なものは生地が薄くてヨレやすいので、ある程度しっかりしたものを選ぶのがおすすめです。
私の着物は、西陣の「弓月」の“でにむどす”というデニム着物です。プレタ(既製品)のMサイズで、だいぶ前に33,000円で購入したものなので、今の私には少し大きく感じます。
染め帯を合わせることで、カジュアル一辺倒にならず、どこか上品さを感じさせるバランスに。足元を草履でまとめれば、より“和”の雰囲気が生まれます。
- 同じ帯でも、デニム着物に合わせると少し都会的な印象
- 落ち着いた配色なら、デニムでも「浮かない」大人の装いに
- ちょっと気分を変えたい日や、街歩きにおすすめ
お買い物や美術館めぐり、気分を少し変えたい日のお出かけにおすすめのコーディネートです。
京都北野の天神市にでかけ、外国人男性に「クール!」と声をかけられました。洋服では有りえないことです。
着物をもっと気軽に楽しみたい大人女子の為のふだん着物です。


シンプルな生地感なので合わせる帯を選ばず、レトロな帯に合わせればシックな着こなしに、カラフルな帯に合わせればポップにもなる、コーディネートが楽しい着物です。 エイジレスで着る事ができて、着用する事で風合いが増すため、飽きがこないのもデニム着物の魅力。




洋服ミックスコーデのススメと理由
着物に洋服を取り入れる洋服ミックスコーデ。最初は少し戸惑うかもしれませんが、綿の着物ならジーンズのように自然に馴染みます。
帯を小ぶりに結んで存在感を少なくするとカジュアルダウンして着物と馴染みやすくなります。
特に、シニア世代は着心地が楽で、お手入れも簡単なので、初めての方でも安心でおすすめです。
今回のように名古屋帯を合わせれば、気軽さの中にもきちんと感が生まれ、無理なく大人のエレガンスを感じさせる素敵なおしゃれが楽しめます。
ショールやベルトも、洋服を着るときのような感覚で気軽に合わせてみてください。


「帯は何本もいらない」着物の幅を広げる小さな工夫
今回の帯は、知人宅で処分するというので頂いたもの。なので、ベルトをしたりデニムに合わせたりが惜しみなくできたのかもしれません。
シニア世代にとっては、着物を楽しむためには、着ていて楽な着物や気楽な帯を選ぶことが何よりだと感じます。
気を使わない着物ライフを、無理なく楽しむことが一番だと思います。70代になって切実に感じます。
その意味でも、デニム着物と遠州木綿に名古屋帯の組み合わせは以外にもシニアにピッタリです。
今、持っている着物と帯を組み合わせるだけで、装いの幅はいくらでも広がります。
デニム着物と遠州木綿に名古屋帯の組み合わせは以外にもシニアにピッタリです。
さらに半衿や帯揚げ、履物などの小物を変えることで、ほんの少し雰囲気を変えることもできます。
- 同じ帯でも、合わせる着物次第でガラッと印象が変わる
- 帯を増やさなくても楽しめるというマインドチェンジが大事
- 小物(半衿・帯揚げ・草履)でさらに幅を広げられる
今ある着物や帯をぜひ活かしてください。
終活を意識してたくさん処分したのに、また、一つ増えてしまいましたが、従来の紬にも合わせられると思ったからです。


まとめ
着物は決して「特別な日のためだけのもの」ではありません。
どこか肩の力を抜いて、着ていて気持ちが楽になる装いを楽しむことで、日々の中に小さなときめきを添えてくれます。
「今日はどの着物にどの帯にしようかな…。」
そんなふうに迷う時間もまた、着物の楽しみのひとつ。
気軽に楽しめる綿の着物だからこそ、無理なく暮らしに寄り添う装いがきっと見つかります。
お手持ちの名古屋帯と綿の着物で、自身を持って、ぜひ“違い”を楽しむコーディネートに挑戦してみてくださいね。
シニアになってもジーンズやコットンを楽しむ感覚でデニム着物や綿着物をベースにいろんな帯合わせで、新しい着物ライフの一歩を踏み出してみてください。


最後までお読みいただきありがとうございます。この記事が参考になれば嬉しいです。
着付け教室を開校しています。お気軽にお問い合わせください。
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