帯枕の選び方と使い方を間違えると、着付けが崩れる原因になります。この記事では、着物歴30年以上、3000人以上の着付けを手掛けてきたブログ管理人みつ子が、着付け上達のカギとなる『帯枕』について、正しい選び方と使い方を3ステップでわかりやすく解説します。

いろんな形があるけどよくわからないし、帯枕なんてどれも一緒じゃないんですか⁉



『帯枕』は正しい選び方と使い方が重要です。これをおろそかにすると、着付けの上達や美しい仕上がりに差が出てしまいます。
この記事を読めば、着付けの上達が早まり、楽に美しく着られるようになる3ステップがわかります。ぜひ最後までお読みください。
以下のお悩みの方にぜひお読みいただきたいです。
- 帯枕の選び方がわからず困っている人
- お太鼓の山が綺麗にならず困ってい人
- 帯枕の紐が緩んで困っている人
- 着付けをもっと上達させたい人
いずれのお悩みにも、この記事で紹介したポイントや3ステップを実践することで解消できます。
ぜひ今日から試して、美しい着姿を楽しんでください!
結論
正しい帯枕の選び方と使い方
正しい帯枕の選び方と使い方を守ると利点は以下の通りです。
1. 時間短縮:
正しい選び方と使い方により、帯結びの手直しが少なくなり、着付けにかかる時間を短縮できます。
2.着物の崩れ防止:
帯枕を適切に使用することで、着物が崩れにくくなり、長時間美しい状態を保てます。
3. 美しい仕上がり:
帯枕を正しく使うことで、お太鼓の形が整い、全体の着付けが美しく仕上がります。
4. 着付けの上達:
帯枕の効果的な使用を習得することで、着付け技術が向上し、自信を持って着物を着ることができるようになります。
これらの利点により、帯枕は着付けにおいて非常に重要なアイテムであると言えます。
間違った選び方と使い方
帯枕の正しい選び方と使い方を守らないと、主に以下のような問題点が生じる可能性があります。
1. 帯枕の選び方や使い方が間違っている
帯枕の形やサイズが帯結びに合っていない場合、帯が正しく固定されず、手直しに時間がかかることがあります。
2. 帯枕の紐の締め方が不適切
紐を正しい位置で適切な強さで締めないと、帯枕がずれたり、帯山が崩れる原因になります。
3. 帯結びに適した準備不足
帯枕を適材適所で使わないと、帯結び全体の工程がスムーズに進まず、結果的に効率が悪くなります。
これらを防ぐためには、帯枕を正しく選び、用途に応じた使い方を学ぶことが重要です。正しい手順を守ることで、着物の崩れを防ぎ、美しい仕上がりと効率的な着付けが実現します。
どのお悩みも帯枕を正しく選び正しく使うことで、美しい帯結びができ着付けが上達するようになります。
1.帯枕の種類
帯枕の形は大きく分けて、振袖用、お太鼓結び用、銀座結び用の3種類があります。
3種類の形
- 振袖用 ・・・ 変化結びがし易いようにおにぎり型(帯に高さが出る)
- お太鼓結び用(二重太鼓用) ・・・ 横長で大きいめ(正装ではお太鼓を大きく作るため)
(一重太鼓用) ・・・ 横長で標準サイズ(普段着では正装よりお太鼓が小さめのため) - 銀座結び用 ・・・ 薄く小ぶりな銀座結び専用か腰紐で代用
どの帯枕でも枕にかぶせてある紐はガーゼか伸縮性のある枕紐にすると苦しくなく、しっかり結べます。
ストッキングタイプの枕紐は伸びて緩みやすく、きつく締めると苦しいのでお勧めしません。
お手持ちの帯枕にかぶせて使う便利なガーゼ枕紐や伸縮タイプのたかはしきもの工房の胸元らくらく枕紐もお勧めです。
たかはしきもの工房https://www.kimonokoubou.co.jp/
2.帯枕の種類別用途
振袖用
主に振袖の華やかな帯結びをするときに使われます。 特に、ふくら雀や立て矢など、変わり結びをする際に適しています。
三角形のおにぎり型(蛤型)の帯枕を使うと、羽根を広くしっかりと抑えられ、振袖に必要な帯の高さが出せます。
その結果、仕上がりが美しく整います。


上が振袖用で、長さ19cm、高さ12cm、厚み5cmと、丸みがあり高さもしっかりとした形状です。下が一般的なお太鼓用(長さ20cm、高さ8.5cm、厚み3cm位)です。
お太鼓結び用(二重太鼓)
二重太鼓を結ぶ際に合わせる着物は、主に礼装用のものが多いです。具体的には、留袖、訪問着、付下げ、色無地などが適しています。また、格調高い結び方であるため、結婚式や卒業式、入学式などのフォーマルな場面で用いられることが一般的です。
正装用の帯枕は横長で大きめのものが適しています。これを使うと、二重太鼓を結ぶ際に、帯枕の端まで帯がしっかりとつかめるため、美しく仕上げることができます。


正装用で横長で大き目(長さ25.5cm高さ8cm、厚み4.5cm位)です。
お太鼓結び用(一重太鼓)
一重太鼓を結ぶ際に合わせる着物は、主にカジュアルからセミフォーマルな場面で着用されるものが適しています。
具体的には、以下のような着物が一般的です。
• 小紋:日常のお出かけや気軽な集まりに。
• 紬:普段着やカジュアルなシーンで。
• 色無地:柄が控えめで、少し改まった場面にも対応可能。
• 訪問着(控えめなデザイン):軽いお祝い事やカジュアルなパーティーに。
一重太鼓は名古屋帯を使うことが多く、シンプルで上品な印象を与える帯結びです。
合わせる帯枕は横長タイプで標準サイズ(一般的なサイズ)の帯枕が合います。
普段着の着物では、正装用より小さめのお太鼓にするとバランスが良くなります。そのため、標準サイズの帯枕が適しています。写真下の帯枕がその例です。


普段着用(長さ20cm、高さ8.5cm、厚み3cm位)で一般的な普通サイズです。
※お太鼓結び用の帯枕は、自分の体型にあったサイズを選びましょう。小柄な人は小さめ、大柄な人は大きめのサイズが理想です。
銀座結び用
銀座結びは、気軽なパーティーシーンの訪問着や日常的なお出かけの小紋、紬などの普段着におしゃれな帯結びとして楽しむことができます。
銀座結びには、薄くて幅が狭い専用の帯枕を使うのが理想です。帯枕を使わずに腰紐だけで結ぶこともできますが、少し難易度が上がります。。


ティッシュペーパーのフタ部分を利用して綿花で少し厚みを足し、ガーゼでくるんで自作しました。
お太鼓の山にちょうど良いカーブが出ます。
たかはしきもの工房の銀座結びにちょこっと帯枕もお勧めです。
【番外編】期待外れ!?帯枕の落とし穴
生徒さんやスタッフの評判がとても良かったため、「たかはしきもの工房」の帯枕「空芯才DX」をお太鼓結び用に購入しました。物を増やしたくないと思いつつも、新しいものを試してみたくなり選びました。
「空芯才DX」は柔らかい新素材で、丸洗い可能でクッション性があり、正装にも普段着にも使える優れものです。


ところが、期待して使い始めたものの、帯山にしわができてしまいました。帰宅後も、帯山の縦じわ(黒丸部分)が気になりつつも、そのまま帯をたたんで収納しました。後日、他の帯でも同じように帯山にしわが入ることに気づきました。


原因は、柔らかい新素材が逆に帯枕を背中の丸みに沿わせてしまい、その結果、真ん中にしわが寄ってしまったのです。これは、年齢とともに背中のラインが変化したことによる悲しい現実でした。
とても残念だったため、「たかはしきもの工房」のアドバイザーに相談してみることにしました。
アドバイザーの方からは、帯枕の紐を前にまっすぐ引っ張るのではなく、斜め下に引いて枕がカーブしないようにする方法を教えていただきました。その結果、シワが出ないときもありましたが、私の背中には帯枕が長すぎるため、どうしてもたわんでしまうことがありました。
「空芯才DX」詳細については、こちらの雑誌に掲載されています。
正装用や普段着用の帯枕にはさまざまな形や大きさがあります。私が着付けを始めた頃から使っている帯枕は、一般的な普段着用のもので、今でも愛用しています。
現在は、その帯枕に「胸元らくらく枕紐」をかぶせて使用しています。この組み合わせにより、帯枕が背中にしっかりフィットし、お太鼓に自然な丸みが出てとても良い仕上がりになります。また、「胸元らくらく枕紐」は伸縮性があり、しっかり締まるうえに洗えるので清潔に保てるのも魅力です。


夏の間は、熱がこもりにくいヘチマ素材の帯枕を使用しています。乾燥させたヘチマを使って自作した帯枕で、軽くて通気性も良いため、とても重宝しています。


普段用はそれら2つで年中乗り切ってきました。
自作せずとも売っていました。
メーカーの工夫により、着物の着付けに使う小物はますます便利になっています。
自分に合った小物を選ぶことで、着物をより簡単に美しく着ることができます。
便利なアイテムについては、以下を参考にしていただければ幸いです。


まとめ
帯枕を正しく選ぶ
着付け上達の決め手は他にもありますが、まずは帯枕を正しく選ぶことが重要です。
用途別に
- 振袖用 ・・・ 変化結びがしやすいようにおにぎり型(帯に高さが出る)
- お太鼓結び用(二重太鼓用) ・・・ 横長で大きいめ(正装ではお太鼓を大きく作るため)
(一重太鼓用) ・・・ 横長で標準サイズ(普段着では正装よりお太鼓が小さめのため) - 銀座結び用 ・・・ 薄く小ぶりの銀座結び専用か腰紐で代用
その理由は
帯枕を正しく使う
小物は正しく選び、正しく使うことが大切です。
以下では、お悩み別の解決方法をご紹介します。
帯枕の選び方がわからず困っている人
3つの用途を参考にし、適切な帯枕を選ぶ。
- 振袖用 ・・・ 変化結びがし易いようにおにぎり型(帯に高さが出る)
- お太鼓結び用(二重太鼓用) ・・・ 横長で大きい目(正装は大き目にお太鼓を作るため)
(一重太鼓用) ・・・ 横長で普通サイズ(普段着は正装よりお太鼓が小さ目のため) - 銀座結び用 ・・・ 薄く小ぶりの銀座結び専用か腰紐で代用
左の帯枕は一重太鼓用で、右は二重太鼓用です。ボリュームが違います。


お太鼓の山が綺麗にならず困っている人
帯枕の下の部分の帯溜まりのシワを伸ばして布目を通すと帯山がきれいに仕上がる。
帯枕のしたの帯溜まりにしわがよっていると帯山が綺麗にならない。


帯溜まりのシワが取れていると帯山がフィットし、綺麗になる。


枕の紐が緩んで困っている人
枕にかぶせてある紐はガーゼか伸縮性のある枕紐にしてください。苦しくなく、しっかりと背中に付きます。





帯枕の紐って大事なのね。



帯枕がずれると、帯の形がうまく整いません。
背中にしっかりと固定されていることで、帯の形が美しく決まります。
着付けをもっと上達させたい人
次の3つのステップをお試しください!
着付け上達の決め手3ステップ
帯枕を正しく選んで使えば、あとは3つのステップを実践するだけ!これだけで、着付けがぐんと上達します。
帯結びを綺麗に仕上げる3ステップ
1.帯枕を正しく選び使う
帯枕は結びたい帯の形や用途に合ったものを選び、しっかり締まるけれど苦しくない枕紐で固定します。
帯枕は背中にぴったり付けましょう。
2.帯を背中にフィットさせ、帯山を整える
帯を背中にしっかりフィットさせたら、「帯だまり」(枕の下にできるあまり部分)の布を整え、帯山を美しく仕上げます。
3.枕紐をしっかり締めて仕上げる
緩まない枕紐に替え、帯枕を背中にぴったり沿わせます。次に、帯山から帯の下線までをしっかり手先で押さえ、緩みをなくします。
これらのステップをしっかりと実行することで、帯枕が背中にぴったりつき、帯山がきれいに整います。
お太鼓部分がぶかつかず、時間も節約できます。すっきりと美しい着付けが完成します。



最初は難しいかもしれませんが、
3ステップを繰り返し練習することで、必ず美しい帯結びができるようになります。
結果的に着付けの技術も上達していきます。
3ステップで着付けの時間を短縮
帯枕を正しく選び、使うことで、帯結びの手直しが不要になり、結果として着付け時間を大幅に短縮でます。
3ステップで美しい着姿を実現
帯結びに手間取ると、時間がかかり着崩れの原因になりますが、素早く帯を結べると着崩れしにくくなります。
3ステップで着付けが上達
短時間で美しく帯結びができるということは、着付けの技術が向上している証拠です。



結局、帯を美しく仕上げることができれば、着姿も自然と美しくなるということなんですね。



一旦は、帯枕を正しく選んでこの3ステップを練習してみることね!



帯で時間がかかると着崩れの原因になるため、
帯枕を正しく選び、正しく使う事が重要です。
3つのステップを踏んだだけで、帯が早くきれいに仕上がり、着崩れしにくくなり、着付けもどんどん上達します。
お試しください。
最後までお読みいただきありがとうございました。
この記事が参考になれば嬉しいです。
着付け教室も開校しています。お問い合わせお待ちしております。
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