
暑い季節でも着物を着る機会があります。夏の着物を涼しく着る工夫があれば、ぜひ教えてください。



私も、質問者さんと同じように夏着物を涼しく着る方法を探し、いろいろ試しています。
夏着物は着ている本人にとってはとても暑いのですが、その独特な透け感が、見た目には涼しげな印象を与えてくれます。
できれば、その涼やかな見た目のまま快適に着られるといいですね。
夏にタオルでウエスト補正をしていた頃、熱中症になりかけた経験を持つ、着物歴30年以上のみつ子が、試行錯誤の末に考えた工夫をお伝えします。ぜひ最後までご覧ください。
結論
1. 身に着ける枚数をできるだけ減らす。
2. 補正具は涼しい素材のものを使う。
3. 必要最低限の工夫で透け感を防ぐ。
4. 涼しい素材の着物を選ぶ。
5. 通気性の良い帯結びをする。
6. 冷感を得られるアイテムを活用する。
1. 身に着ける枚数をできるだけ減らす。
夏着物は透け感を楽しむ一方で、必要以上の透けを防ぐことが大切です。そのためには、着物にぴったり合う透けない襦袢を着るのが効果的です。
特に裾の透け対策として、これまでは裾部分を二重(裾除けと長襦袢)に付けていましたが、枚数が増えて暑さが気になることがありました。そこで私は、裾部分だけが透けない袷の生地になっている襦袢を選び、この悩みを解消しました。私が使っているのは「き楽っく極」という商品で、これなら裾除けを使わなくても透ける心配がありません。



袷用の襦袢なのに暑くないのですか?



裾よけやステテコを着なくても裾が透けないので、まったく問題ありません。絽の襦袢よりも、夏着物により適しているかもしれません。
「き楽っく極」(袷用の正絹襦袢)」の袖を夏用の絽に付け替え、裾は袷用のまま使っています。裾よけを減らせるので、フォーマルでもカジュアでも透け感を防ぎつつ快適に着られます。
2. 補正具は涼しい素材のものを使う。
以前はタオルを使って補正していましたが、年齢とともに暑さがつらくなってきたため、別の方法を探していました。調べているうちに、涼しくて補正と汗取りの両方ができる「くノ一麻子」に出会いました。価格は高めでしたが、試しに購入したところ、説明通りの快適さで驚きました。
それ以来、タオル補正はやめて、「くノ一麻子」に加え、ウエスト補正と汗取り機能を兼ねた「満点腰スッキリパット+メッシュ」を組み合わせて使っています。そのおかげで、以前よりも夏場の着物が涼しく(暑さが和らぎ)快適になりました。今では夏だけでなく、かなりの期間愛用しています。
もし、これらを全て揃えるのが難しい場合でも、麻素材のタオルを補正に使うと暑さを軽減できるのでおすすめです。
私が愛用している汗取り肌着は、『たかはしきもの工房のくノ一麻子』です。
この肌着は麻綿(わた)入りで、アシベ織の汗取り肌着とは異なり、涼しさに加え、汗を防ぐ範囲が広いのが特徴です。特に背中の帯枕の下やウエストの腰紐部分をしっかりカバーし、補正力も優れています。




「くノ一夏子もありますが、断然おすすめは「くノ一麻子」です。汗取りの範囲と用途がちがいます。
たかはしきもの工房のくノ一麻子と
胴回りには同じくたかはしきもの工房の「満点腰スッキリパッド」で
汗取りと涼しさと補正を兼ねられます。
3. 必要最低限の工夫で透け感を防ぐ。
裾部分だけに居敷き当てを付けることで、後ろ姿の透けを防ぐことができます。この方法では絽の長襦袢だけでも透け感を抑えられますが、膝裏の汗が直接襦袢に付くのが気になる場合は、裾除けの使用をおすすめします。正絹のウォッシャブルな襦袢(想屋)や「き楽っく極」ならお手入れも簡単で安心です。


想屋http://www.omoiya.com
ただし、透け感が強い夏着物に白い居敷き当てを付けると、その部分だけが白く目立ち、着物の雰囲気を損ねる場合があります。そのため、私は透け感が強い着物には居敷き当てを付けず、透けない襦袢(袷生地を単衣仕立てにしたもの)を合わせて着るようにしています。


キラキラと光るラメが織り込まれた単衣の襦袢です。透ける着物の下に合わせて、ラメの輝きを楽しもうと思っていましたが、意外にもそのラメ感が外からはあまり目立ちませんでした。少し、がっかりしました。
スコープココhttps://scopecoco.jp
写真のように、後ろ身頃に白い布の居敷き当てを付けた着物(左)と、付けていない着物(右)では見た目の印象が異なります。この違いを考慮しながら、自分に合った方法を選ぶと良いでしょう。


4. 涼しい素材の着物を選ぶ。
以下のように簡潔にまとめてみました。
夏におすすめの着物素材:
• 絽(ろ)・紗(しゃ):薄手の絹素材で通気性が良く、袷(あわせ)よりも涼しい。
• 麻(あさ):非常に通気性が良く、汗をかいてもすぐ乾くため、夏に最適。
• 綿(めん):通気性が良く、手入れも簡単。
夏場のカジュアル着物には、麻の着物が特に涼しく快適です。ただし、下に着る肌着の工夫も大切です。
正装着物:フォーマルな場、式典や儀式などで着る着物は主に正絹が使われ、麻や綿の着物はしません。
5. 通気性の良い帯結びをする。
博多織り夏帯や芯の入らない帯を使うのはもちろん
夏に涼しさを感じられる帯結びのポイントは、帯の厚みを抑え、通気性を確保することです。以下に、夏向きの帯結びの方法をいくつかご紹介します。
1. 貝の口(かいのくち)
特徴: 帯の形がコンパクトで背中に厚みが出ず、涼しく感じられます。浴衣や普段着の着物にぴったりの結び方です。
手順:
1. 帯を巻いた後、手先(短いほう)と垂れ(長いほう)を交差させる。
2. 手先を垂れに通し、しっかり締める。
3. 交差部分を整えて、背中に水平な形に仕上げる。
2. 文庫結び(軽めにアレンジ)
特徴: シンプルで華やかさもあり、通気性を意識した結び方にアレンジ可能です。
手順:
1. 帯を巻いた後、蝶結びを作る要領で結ぶ。
2. 羽の部分をあまり重ねず、薄く広げて形を整える。
3. 帯締めを使えば、さらに崩れにくくなります。
3. カルタ結び
特徴: 帯を折りたたんで仕上げるので、厚みが少なく、見た目もすっきりします。
手順:
1. 帯を一周巻き、手先と垂れを交差させる。
2. 垂れを背中で折りたたみ、帯に挟む。
3. 最後に形を整えて完成。
4. 片ばさみ結び
特徴: 帯の片方をスッキリまとめる涼しげな結び方で、粋な印象を与えます。
手順:
1. 帯を一周巻き、手先と垂れを結ぶ。
2. 垂れを片側に流し、帯に挟む。
3. 形を調整して軽快な仕上がりに。
これらの結び方は、厚みを抑えつつ見た目も涼しげなので、夏の着物や浴衣に最適です。帯を結ぶ際には、素材が軽い夏用の帯を使うとさらに快適になりますよ!
6. 冷感アイテムを利用する。
涼しい襦袢
カジュアル着物の下には麻襦袢がおすすめです。麻は、着ると体感温度が2度下がると言われるほど、ひんやりとした涼しさを感じられます。
着方の工夫
• ゆったりと着る:帯の上線に少しゆとりを持たせて着ることで風通しが良くなり、涼しさを感じやすくなります。
• 襟元を少し開ける:衿の抜きを少し多めにしたり、衿元を少し開けることで風が通りやすくなります。
小物の活用
扇子
携帯しやすい扇子を持ち歩き、涼を取ることができます。
あまり色柄がない方がどんな着物にも合わせやすいです。
• ハンディーファンも便利ですが、私は扇子を帯に挟んで、すぐ取り出せるようにしています。
保冷剤
• また、手ぬぐいを使って保冷剤を入れる紐状のものを手作りし、首の後ろに巻いています。首元がひんやりすると、体全体が涼しく感じられておすすめです。
• 以前は保冷剤を直接衣紋に挟んでいましたが、歩いているうちに背中までずり落ちてしまうことがありました。
• 今では、この手作りの保冷剤入れを肌襦袢の上から着物に重ねて使うことで、保冷剤が落ちる心配もなく、快適に移動できます。




日傘
日差しを避けるために日傘を使うと、直射日光を防ぐことができます。
すだれ帯板
• 帯板も通気性を良くしたほうが暑さは軽減できます。
たかはしきもの工房のすだれ帯板は帯板の下の蒸れが防げます。今は年中これ一択です。くるくる丸めて収納も場所を取りません。


日中の活動を避ける
• 朝夕の時間帯を選ぶ:特に暑い日中を避けて、比較的涼しい朝夕に外出するようにすると快適です。
• 日陰を選んで歩く:なるべく、歩く距離を少なくする道筋を考えて建物等で日陰になる道を歩く。
まとめ
夏着物を涼しく快適に着るためのポイント
1. 身に着ける枚数を減らす
必要最低限の着付けで、できるだけ涼しく過ごしましょう。
2. 補正具は涼しい素材のものを使う。
• 肌着:「くノ一麻子」など、通気性が良く涼しい素材を使う。
3. 必要最低限の工夫で透け感を防ぐ。
• 襦袢:「き楽っく極」など、夏用の涼しい素材を選び、不要な袖は外して軽くする。
必要最低限のアイテムで、涼しさを損なわずに透け感をカバー。たとえば、「き楽っく極」は透ける着物に最適です。
4. 涼しい素材の着物を選ぶ。
• 着物:カジュアルなら麻、フォーマルなら絽がおすすめ。
5. 通気性の良い帯結びにする
貝の口など、軽くて涼しい帯結びを選びましょう。
6. 冷感アイテムを利用する
• 保冷剤を手作りの入れ物に入れて衣紋や首元に当てる。
• 扇子や日傘を持ち歩く。
• 移動時の工夫
日陰を選んで歩く、可能であれば建物の中を通るようにする。
これらの対策を取り入れてからは、熱中症になることがなくなりました。特に「くノ一麻子」や「き楽っく極」は、コストパフォーマンスも良く、夏着物をよく着る方におすすめです。
私が実際に行っている具体的な方法は、以下の通りです。
• 肌着は涼しい素材にする・・・「くノ一麻子」
• 襦袢は涼しい素材にする・・・「き楽っく極」
• 襦袢の袖が不要な場合は外す・・・「き楽っく極」
• 透ける着物には透けない襦袢を使う・・・「き楽っく極」
• 涼しい素材の着物を選ぶ・・・麻や綿は自宅でお手入れしやすい
• 冷感アイテムを活用する・・・扇子や日傘、衣紋に保冷剤を入れる
• 移動時の工夫・・・日陰を歩く、できれば建物の中を通る
もちろん、全く暑さを感じずに着物を着られるわけではありませんが、確実に楽になったと感じています。
肌着や着付け小物を考案してくださる「たかはしきもの工房」や「き楽っく極」のメーカー、衿秀さんに感謝しています。各メーカーさんが開発してくださったおかげで、これらの便利なアイテムを使うことができ、暑さを少しでも軽減できました。
また、「くノ一麻子」や「き楽っく極」、「すだれ帯板」などを使用してくださった生徒さんや講師の先生方にお会いできたら、その後の感想も記事でご紹介しますので、少しお待ちください。



結局のところ、夏着物は下に着るものが決め手なんですね!
そんなに差があるとは思いもしませんでした。
揃えるのに費用が掛かりそうだけど1回揃えたら何年も使えるので早いほうが良さそうね。検討してみようかしら?



「たかはしきもの工房」の製品は、アンテナショップやデパート、着物店で取り扱いがあります。使用方法やぴったりのサイズについては、ぜひ店舗で相談するのが賢明です。詳しくは「たかはしきもの工房」のホームページをご覧ください。
たかはしきもの工房https://www.kimonokoubou.co.jp
「き楽っく極」はネットで注文できますが、寸法で迷った場合は、問い合わせやよくある質問を参考にして検討してください。
衿秀https://www.erihide.jp


高島屋京都店でカタログをいただいてきました。毎週月曜日には、たかはしきもの工房のアドバイザーさんが在席されており、試着やアドバイスを受けることができるそうです。


最後までお読み頂きありがとうございます。この記事が参考になれば嬉しいです。
前結び講座や着付け教室も開校しています。お気軽にお問い合わせください。
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