着物を洋服にリメイクしたいと思いながら、なかなか踏み出せずにいる方はいませんか。
私もそのひとりでした。洋裁は得意ではありません。ミシンは持っているけれど、滅多に出さない。そんな私が、大島紬をワンピースにリメイクしました。しかも、予定外に、自分で縫うことになって。
完成まで約1ヶ月。途中で心折れそうになった瞬間は、一度や二度ではありませんでした。それでも、ある場所で宣言してしまったので…。やり抜かなければなりません。
この大島紬について
2023年1月、バイセルの京都高島屋でのお正月リサイクル着物催事で出会った、茶泥大島です。
私はもともと大島紬が好きで、母から受け継いだ白大島と藍大島、自分で購入した泥大島の3種類を講師時代に愛用していました。
軽くて、着付けもしやすい、大島紬はそういう着物です。催事でこの茶泥大島を見たとき、自分がまだ持っていない茶泥、柄行もいい感じで迷わず手に取りました。

購入価格は9,900円。ただ、嬉しさのあまり、うっかり袖丈の確認を忘れてしまい、お直し代が別途3,000円かかって、合計12,900円になりました。袖丈など寸法は必ず確認しましょう、という教訓です。

吉田三世さんの本には作る過程のYouTube動画のQRコードが記載されていてみながら作れて便利です。
なぜリメイクに踏み切ったか
着付け講師を辞めてから、着物を着る機会がめっきり減りました。たんすの中を見渡すと、出番の少ない着物がいくつもある。断捨離の必要性を感じていたとき、この茶泥大島の柄を改めて眺めて思いました。
「これ、ワンピースにしたらいいんじゃないか」
形を変えて、毎日の暮らしの中に戻してあげる。それがこの着物への、今できる一番の敬意だと思いました。
経緯:「仕方なく」自分で縫うことになった
4月11日に、嵐山を歩く予定がありました。期限をそれに合わせようと決めました。
もともとの計画はこうでした。裁断は自分でやって、縫いは信頼できる縫製のプロにお願いする。でも、その方が予定の日までに対応できなくなってしまった。
「仕方ない、自分で縫うか」
洋裁が得意ではない私が、ミシンを引っ張り出したのはそういう経緯です。
制作の記録
2月24日——着物を解く
まず着物を解いて、洗い、アイロンをかけて生地を整えるところから始めました。ここを丁寧にやっておくと、後の裁断が格段に楽になります。

2センチくらいの縮み具合だったのでリメイクできます。5センチ以上縮んだらリメイクに向かないのです。
〜3月上旬——型紙と裁断
リメイク本から型紙を写し取り、生地に合わせて裁断。準備が整いました。縫製をプロにお願いする前提だったので、この時点ではまだ気持ちに余裕がありました。

3月20日〜——縫製スタート(予定外の自力で)
ミシンのトラブルは、最初から最後まで続きました。

縫い目が乱れる、糸が絡まる、思ったように進まない。そのたびに手を止めて、説明書を引っ張り出す。糸のかけ方、ボビンのセット、押さえの種類——基本的なことを何度も確認しながら、少しずつ縫い進めました。「慣れてきた」と思ったら、また別のトラブルが起きる。その繰り返しでした。
これまでリメイク教室に通って何枚か縫ったことがあります。でも教室では、ミシンもロックミシンも先生が整えてくれています。だから気づかなかったのです!家のミシンがこんなに大変だということに。
縫い合わせながら、仕上げの細かさにも苦労しました。縫い代の処理、袖ぐりのカーブ、裾のまつり縫い。どれも地味な作業で、ミシンの調子が悪いとさらに手間がかかります。心が折れかけたのは、一度や二度ではありませんでした。

それでも、数日かけて縫い続けました。
3月28日——完成動画はこちら
4月11日の嵐山散策まで、まだ少し時間がある。間に合いました。
着て、近所へ出かけてみた
完成してすぐ、試しに近所へ出かけてみました。
歩き出した瞬間、「あ」と思いました。
軽い。そして、なめらか。大島紬の生地がこんなにも体に沿うとは思っていなかった。これまでリメイク教室で縫ってきた着物も含め、作るたびに実感することがあります。着物生地は、見た目から想像できないくらい高品質なんです。
シルクの艶感が、シニアの失われていく輝きを補ってくれているように感じています。実際は思い込みかもしれない。でも、着心地は本物の実感です。
近所をひと回りするつもりが、気持ちよくてもう少し歩きたくなりました。苦労した分だけ、嬉しいんだな、と思いました。そして、もう一度やってみたい、という気持ちが静かに湧いてきました。
着物を持て余している方へ
簡単ではありません。でも、できないわけでもありません。
今回の経験からお伝えできることをまとめます。
* 着物生地は予想以上に着心地が良いので失敗しても良いのでリメイクしてみる
* 着物では派手すぎて着られない色柄でも洋服ならシニアにも十分着ることができる
* ミシンはきちんと使用法を確認しておく
* 生地の端の始末に思った以上の手間がかかると見込んでおく
* 目標を設定して、完成したら、とにかく着て外に出てみる
最後の「着て出かける」が一番大事かもしれません。着てみて初めてわかる喜びが、次へのエネルギーになります。
たんすの中で眠っている着物がある方に、ぜひ一度試してみてほしいと思っています。どれか一枚でも作って、着て出かけてみてください。着物生地の底力を、きっと実感していただけるはずです。

次は、姉の羽織をブラウスにできれば…。
近所を歩きながら、もう次のことを考えていました。
候補は、姉が一度も袖を通していない朱色の羽織。生地はとても素晴らしいのですが、羽織のままでは今の私には着る機会がありません。これをブラウスにできたら、と思っています。
ただ、正直まだ思案中です。形を変えるだけで着なければ、意味がない。次に作るものは、ちゃんと着るものにしたい。そう思うと、慎重になってしまいます。
決まったら、またここで報告します。
最後までお読み頂きありがとうございました。この記事を読んで一人でも着物をリメイクしてみようと思う方がいれば嬉しいです。

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