初夏から暑い夏に向けて着たい【着物3選】

日に日に気温が高くなり、夏の気配が近づいてきましたね。

暑い季節でも涼やかに、そして快適に着物を楽しみたい…そんな方に向けて、今回は「暑い夏に向けて着たい着物3選」をご紹介します。

着物歴30数年の実践から素材や織りの特徴を活かし、見た目も着心地も爽やかな着物、肌着や汗対策の工夫も紹介します。夏支度の参考にしていただければ嬉しいです。

スポンサーリンク
目次

おすすめ着物3選+α

最近は、5月のうちから真夏のような暑さを感じる日が増えましたね。以前なら「単衣は6月から」「薄物は7月から」と言われていたものの、地球温暖化の影響でその基準も少しずつ見直す時期に来ているのかもしれません。

最近の温暖化の気温に合わせて従来の基準から1か月前倒しで季節の着物を選ぶのがおすすめです。

プライベートな場では自由に楽しんでください。ただし、正式な場ではその場のルールやマナーに従いましょう。

1.単衣の小紋 や紬〜さらりと軽やか、普段使いにぴったり〜【5月・6月・9月・10月】

単衣(ひとえ)の着物は、初夏に大活躍する定番アイテムです。裏地がなく一枚仕立てなので、軽くて風通しが良く、汗ばむ日も快適に過ごせます。

最近は、自宅で洗えるポリエステル素材(東レシルックやセオアルファなど)のものや、麻が混ざったサラリとした生地(綿麻)のものなど、お手入れしやすくて涼しいタイプが増えています。普段のお出かけや街歩きに、気負わず着られる一枚としておすすめです。

2. 絽や紗の着物(付下げ・小紋) 〜見た目に涼しげな夏のおしゃれ着〜【6月〜8月】

6月後半から7月、8月にかけて出かけるときには、絽(ろ)や紗(しゃ)の着物がぴったり。絽や紗は生地に透け感があり、見た目も涼しげで、見る人にも清涼感を与えてくれます。

フォーマルな場には絽の付下げ、街歩きや気軽なお出かけには絽や紗の小紋を。帯や小物で遊び心を加えながら、初夏〜真夏ならではの装いを楽しんでみてください。

トンボの柄が金彩で描かれた絽の付下げで着付け教室の修了パーティに出席しました。紗の袋帯と夏の小物で清涼感を出しています。

絽の付下げ着物を着た写真

3.綿や麻の着物〜見た目も体感も涼しい夏の普段着〜【6月〜8月】

6月から8月にかけての本格的な暑さには、天然素材の綿や麻の着物が最も頼りになります。中でも、小千谷縮(おぢやちぢみ)や近江ちぢみは、日本の夏に寄り添ってきた伝統的な麻の涼感素材。さらっとした肌触りと、シャリ感のある着心地が特徴です。

細かなシボ(シワ状の凹凸)が肌への貼りつきを防ぎ、汗をかいてもサラサラと快適。さらに、見た目にも涼しげな麻独特の透け感や軽やかさがあり、暑い日でも見た人に爽やかな印象を与えます。

※上記の3種には天然素材と化繊素材がそれぞれあります。また、着用可能期間は多少の前後は問題はありません。

+α.デニム着物 〜カジュアルでおしゃれ、初夏から夏にうれしい新定番〜

少し意外かもしれませんが、デニム着物も夏に向けておすすめの一枚です。綿素材で吸湿性があり、風通しのよい織り方のものなら、意外と涼しく過ごせます。

半幅帯や兵児帯を合わせると、さらに涼しくカジュアルに。Tシャツ感覚で気軽に着られるので、短めに着て、スニーカーや帽子とのコーディネートも楽しめます。暑い季節にも活躍する、おしゃれな選択肢です。

このように季節ごとに適切な着物を選び、温暖化による気温変動を意識した対応が大切です。

単衣の着用例

最近の5月の陽気はすでに初夏。

裏地のない「単衣着物」は、以前は6月からでしたが、5月から快適に着られる基本アイテムになりつつあります。

1.紬や小紋

淡色の単衣紬や小紋で爽やかに。帯も初夏らしい涼やかな色が適しています。

クリーム色は紬の単衣着物にカジュアルな八寸名古屋帯(芯を入れない仕立ての名古屋帯)です。

小紋の単衣着物も、カジュアルな八寸名古屋帯を合わせた装いです。全体の色使いを3色くらいに絞り、小物にはさわやかな色を選ぶと、すっきりとして涼しげな印象になります。

単衣の紬と染小紋を着た写真

2.単衣〜盛夏に対応できる重宝な「お召し」【5月〜8月】

さらっとした肌触りと適度な張り感が心地よい「お召し」。紬と同じく織りの着物です。

単衣仕立てにすれば、5月〜8月まで幅広く対応できる優れものです。

シャリ感のあるお召しは、単衣としても夏物としても重宝します。

グレーに天目染めという細かい点の着物に夏名古屋帯、青磁色の無地お召しにオールシーズン名古屋帯です。無地っぽい着物は帯合わせでTPOが広く便利な着物です。両方ともお召しです。

単衣のお召着物を着た写真

ところでお召しってなんぞや?

お召し着物(おめしきもの)とは、「御召縮緬(おめしちりめん)」を略したもので、絹糸を強く撚った強撚糸を使い、先染めしてから織り上げる高級な織りの着物です。
特徴は以下の通りです。
• 生地に細かい「しぼ(凹凸)」があり、シャリ感と光沢、コシの強さがある。この特徴が夏向きです。
• シワになりにくく、着心地が良いのが特徴です。
• 柄や仕立てによって、観劇や食事会、パーティーなど幅広いシーンで着用できます。
• 代表的な産地は京都の西陣、新潟の塩沢、山形の白鷹などです。
まとめると、お召し着物は「高級感」「上質な風合い」「幅広いTPO対応」が魅力の、格式ある織りの着物です。

3.デニム着物 (綿着物の範疇)【4月から9月まで(盛夏は個人の体感温度によります)対応できます】

あまりの暑さに2025年5月21日にデニム着物の下にくノ一麻子と綿の裾除けで出かけました。補正も兼ねられて和装ブラジャー無しで快適でした。和装ブラジャー+エアリズムより張り付きもなく
もっと暑くなるこれからはこの組み合わせが最強のようです。帯はポリエステルの夏帯です。

デニム着物に紗の半幅帯を締めてリュックを背負った写真

プライベートのお出かけはこれ一択!透けないので肌着を気にする必要があるません。丈も短く着てハイソックスにレザースニーカーで洋服の気軽さでした。

盛夏の着用例

絽・紗の着物【6月〜8月】

かつては7月からの装いとされていた絽や紗の着物も、決まりが無い場合、現在は6月からの着用が可能に。

早めの気温上昇に合わせて取り入れてみましょう。両方ともポリエステル着物です。

化繊の夏着物を着て紗の博多半幅帯(紗献上)を締めた写真

綿や麻の着物(小千谷縮・近江ちぢみ)【6月〜8月】

通気性に優れた綿や麻素材の着物は、従来よりも6月からの着用がおすすめ。

小千谷縮は街着にも最適で、気軽に洗える点も魅力です。

肌にはりつかず快適な麻着物は、早めに用意しておきたい一枚です。

祖母の絣の麻着物に貝の刺繍のアンティーク帯と母の絹麻の染着物に夏半幅帯(ポリエステル素材)です。

麻着物を着て夏帯を締めた写真

麻着物はじゃぶじゃぶ洗っています。絹麻きものは流石に洗えません。

浴衣を着物風に【6月〜8月】

浴衣も、気温が高くなる6月から活躍します。

名古屋帯や半幅帯、足袋を合わせれば「着物風コーデ」としてお出かけにも対応できます。

帯じめと帯揚げ、足袋を合わせて、涼やかな街着スタイルに変身します。

奥州木綿の浴衣に麻の半幅帯、小千谷縮(麻きもの)に夏博多半幅帯どちらも襦袢無しで着ています。

綿浴衣と小千谷縮を襦袢無しで着て半幅帯を締めた写真

便利なポリエステルの着用例【5月の梅雨対策〜盛夏の汗対策】

気温とともに湿度も上がる5月や梅雨に入り雨が多い6月にもコストパフォーマンスを考えて着物を楽しみたいです。

突然の雨や汗ジミ対策には、洗えるポリエステル素材の着物が頼りになります。

東レシルックやセオアルファなどのポリエステル素材は柔らかく着心地と見た目は正絹と変わりません。

少し、通気性に欠ける点は否めませんが、便利さのほうが勝ちます。

手軽にお手入れできて、見た目も涼しげなポリエステルの着物。梅雨に入る前に用意しておくと安心です。単衣や夏用の絽(ろ)・紗(しゃ)など、さまざまな素材や付下げ、小紋、紬などいろいろな場面に合う着物があります。

東レシルックのポリエステル素材の単衣着物です。汗を気にしなくて良いので、襦袢有りでも無しでも着られます。

化繊の単衣着物を着て半幅帯を締めた写真

夏を快適に過ごす工夫【肌着・襦袢・汗対策】

涼しく汗対策できる肌着

着物を涼しく着るためにいちばん大切なのは、「着物の中に着るもの」を工夫することです。そうすることで、見た目だけでなく、実際の着心地もぐっと涼しくなります。

くノ一麻子という汗取り肌着は、身頃に麻綿が入っていてサラッとした着心地とともに上半身の補正も兼ねられ、おまけに帯枕の下の汗もカバーしてくれる優れ物です!

これ一枚着るだけで、脇汗・背中の汗など上半身の汗対策ができます。

これ以外にもたくさんのメーカーさんから工夫された汗取りインナーがでていますが、私はほぼ一年中くノ一麻子を愛用しています。

ふっくら体型の方はボリュームが少し出てしまうのでほかの汗取り肌着を検討することをおすすめします。

価格が高いので必ず試着して合うサイズを確認して購入してください。

友人に勧めたところデパートの割引期間を利用し、たかはしきもの工房アドバイザーさんにサイズを見極めてもらい購入し、とても重宝されていると喜んでいただきました。

私は、仕事柄、着物を着る機会が多く、洗替を購入するほど”涼しさ”に満足しています。

たかはしきもの工房https://www.kimonokoubou.co.jp/

帯枕が当たる位置まで麻綿が入っていることを見せるため、あえて肌着の上に帯枕を付けています。

汗取り肌着の汗取り範囲を見せる写真です

夏素材の長襦袢(絽・麻など)から便利な袷襦袢に

新しい発想ですずしさを発見しました。

絽や紗の夏着物を着る場合、絽の襦袢は生地が透けるため、裾除けをもう一枚余分につける必要があります

夏はできるだけ着る枚数を減らして涼しくしたいですよね。

「き楽っく極み」は袷用長襦袢なので、裾は透けないシルク素材で作られています。これ一枚で余分な裾除けが不要になります。

そして「き楽っく極み」長襦袢のつけ袖を絽に便利なファスナー式替襟を夏用半襟にれば夏襦袢として着ることもできます。

「き楽っく極み」は”衿秀”さんが出している便利な既製品の正絹襦袢です。

また、藤色の洗える正絹長襦袢(想屋)も透け防止と正絹なのに洗えるのでおすすめです。こちらは反物からマイサイズで仕立てることが可能ですがお値段は少し高目です。

想屋http://www.omoiya.com/

き楽っく極(袷の襦袢)と正絹の洗える別注の夏襦袢の写真です

まとめ|気温に合わせて「前倒し」で選ぶ夏きもの&帯

従来の「6月から単衣、7月から薄物」という基準にとらわれず、気温や体感温度に合わせて着物を選ぶことは、今の時代にぴったりな工夫です。

「まだ早いかな?」と思っていた着物も、実際に着てみると想像以上に快適だったり、気分が明るくなったり。

ぜひこの夏は、ほんの少し早めの衣替えで、気持ちのいい着物ライフを楽しんでみてくださいね♪

きもの3選

従来の「衣替えカレンダー」にとらわれず、実際の気温をもとに選ぶことが大切です。

  1. 単衣着物・・透けない袷着物にもできる生地で、裏がついていないきもの
  2. 夏着物・・・透ける生地の着物
  3. 浴衣・・・綿(デニム着物含む)や麻素材の着物

    デニム生地の着物は既製品が多くサイズもLMSなどで、すぐ着られて便利です。

用途に合わせて、この3選で初夏から真夏、残暑を乗り切ってください。

生地別の着用時期

  • 5月→透けない単衣生地の着物やお召し
  • 6月→お召し・絽・紗・麻・浴衣
  • 7月、8月→お召し・絽・紗・麻・浴衣生地
  • 9月、10月→単衣生地・お召し

デニム生地は別格で普段着なら5月から10月まで着用可能です。ただし、個人の体感温度で判断してください。

全部に登場する便利なお召とは

ところでお召しってなんぞや?

お召し着物(おめしきもの)とは、「御召縮緬(おめしちりめん)」を略したもので、絹糸を強く撚った強撚糸を使い、先染めしてから織り上げる高級な織りの着物です。

まとめると、お召し着物は「高級感」「上質な風合い」「幅広いTPO対応」が魅力の、格式ある織りの着物です。

便利なお召し着物に夏帯を締め、お召し着物のの説明の写真です

帯について

単衣着物から夏着物に合わせる帯は夏帯と決められていますが、オールシーズン帯など便利でコストパフォーマンスの良い帯も出ています。

暑いけれども、まだ夏用の帯を使うには少し早い…そんな季節の変わり目には、帯選びに迷うこともありますよね。

そんな時は、実際の気温や見た目の印象を基準にして帯を選んでも大丈夫です。真夏に厚手の袷(あわせ)の帯を締めるのは避けた方が良いですが、それ以外はご自身が心地よく、素敵だと思える帯を自由に選んでください。

涼しげな帯留めを単衣の着物に合わせた写真です

帯揚げ、帯締め、半衿

帯締め

• パステルカラーや涼しげな色を選ぶと、より季節感が出ます。
• 通年使える帯締めもありますが、夏らしい素材や色を選ぶとおしゃれです。

帯揚げ

• 絽や紗、レースなど薄手で涼しげな素材が適しています。
• 帯や着物の色に合わせて、差し色として使うとコーディネートの幅が広がります。

長襦袢の半衿

• 単衣や夏の時期は、絽や麻など薄手で通気性の良い素材の半衿を使います。
• 白を基本に、淡い色や涼しげな柄もおすすめです。

ポイント

単衣や夏着物の小物は「涼しさ」と「季節感」を意識して、透け感のある素材や明るい色を選ぶとバランスよくまとまります。
暑い季節に着物を着るのは結構たいへんです。くれぐれも熱中症には気をつけてください。

中に着るものを工夫しながら、夏のきものを楽しみましょう♪

最後までお読みいただきありがとうございます。この記事が参考になれば嬉しいです。

着付け教室を開講しています。お気軽にお問い合わせください。

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次