着物を着るようになって長いですが、それでも「今日は何を着ようかな」と迷う日は今でもあります。
断捨離して今はもうたくさん持っているわけではないのに、それでも迷う。不思議なものですよね。
正解はひとつじゃないと思うのですが、私なりに「こんな時はこう選んだ」という具体的な3つのケースをご紹介したいと思います。同じように着物選びに迷っている方の、何かのヒントになれば嬉しいです。
1.オペラ観劇に行くとき
先日、劇団四季の『ノートルダムの鐘』を観に行きました。
オペラですから、洋服なら少しゴージャス感のある装いを選ぶ場面です。着物でもそれに応えたいと思ったとき、選んだのが紋紗のお召でした。
織り柄が唐草模様の全体柄で、どこかヨーロッパ的な雰囲気がある一枚。舞台の世界観と響き合うような着物を選べた気がして、観劇そのものも一層楽しめました。
観劇の後にこうやって写真を眺めると帯の柄も鐘付き堂のロープに見えませんか?
場所を考えるとき、格式やフォーマル度だけでなく、「その場の空気感・世界観」まで想像してみると、着物選びがぐっと楽しくなります。


2.ホテルランチに行くとき
普段の私は紬など、普段着テイストの着物が多いのですが、昨年秋、姉から譲り受けた艶のある付下げを着て、ホテルランチに出かけました。
正直、年齢的にはちょっと華やかすぎるかなとも思ったんです。でも生地があまりに素晴らしくて、長年眠ったままの姉の着物にもう一度、日の目を当てたかった。そして何より、この着物を選んだ母の価値観を、この場でお披露目したかった——そんな想いで選んだ一枚でした。
その日、何を大切にしたいか。格式や場所の雰囲気だけでなく、そんな気持ちで選ぶ日があってもいいと思っています。



3.平安神宮のお庭散歩
姉からは夏着物も3枚譲り受けていて、そのうちの一枚、麻の幾何学模様の着物を着て平安神宮のお庭を散歩したことがあります。
菖蒲を愛でる時期だったので、他の2枚(麻の葉柄、花柄)は選びませんでした。柄同士がぶつかってしまうと思ったからです。主役はお庭の花。だから、柄を控えた着物を選びました。ただし、色目は景色の中で浮かないように少し寄せました。
これは気分というより、「その場の景色と喧嘩しないように選ぶ」という視点です。引き算の美学、というのでしょうか。


まとめ
正解はひとつじゃない。場所の空気感、その日大切にしたい想い、時には景色との相性——その日、何を軸に選ぶかは自由でいいのだと思います。
今日ご紹介した3つのケースを振り返ると:
- オペラ観劇・・・オペラという会場の空気感・世界観に合わせて選んだ
- ホテルランチ・・・ホテルの雰囲気に合わせて豪華に、非日常を楽しむ気持ち、そして、その日大切にしたい想い(誰かを想う気持ち)で選んだ
- お庭散歩・・・散策に適したカジュアルでかつ、景色や季節の花と喧嘩しないように選んだ
反対に、もし場の空気感と着物がちぐはぐだったら、どうでしょう。
- オペラ鑑賞に、古典的な和柄の着物や帯
- 豪華なホテルランチに、縞の紬に半端帯
- 自然の中の散策に、訪問着に袋帯
自由に着たいものを着ても決して間違っているとは言いませんが、こう並べてみると、どこか居心地の悪さを感じませんか?
格式やルールというより、「その場の空気感とちゃんと合っているか」が、実は私の「今日何着ようか?」の一番大事にしていることなのかもしれません。
「何着ようかな」と迷う場合、私はこんな感じで選んでいるということをお伝えしました。
迷うこと自体、着物を楽しむ時間のひとつ。今日ご紹介した3つのケースが、皆さんの「今日は何着ようかな?」のヒントになれば嬉しいです。

「衿元がうまく決まらない」「帯結びが苦手」——記事だけでは難しいところは、直接お教えできます。京都で着付け教室を開いています(講師:日本着装協会認定講師 みつ子)。
初心者向けの基礎科(全8回)、苦手克服のフリーコース、タンスの着物をまるごと相談できる箪笥診断、夏季限定のワンコイン浴衣レッスンもあります。
