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着物を着るたびに、衿元が気になりませんか。鏡の前で何度も直しても、しばらくするとまた崩れてしまう。そんなお悩みを、着付けを30年以上してきた私は、たくさん伺ってきました。
先にお伝えしたいのは、衿元が決まらないのは、あなたの着付けが下手だからではありません。原因は、ほかにあることがほとんどです。
この記事でお伝えすること
着物をきれいに着るために、着付けの基本はとても大切です。衿合わせや衿の決め方は、YouTubeでもたくさん紹介されています。
ただ、それがシニアの方すべてに、そのまま当てはまるとは限りません。私自身、年を重ねて背中が丸くなり、バストが下がり、胴回りが太くなり…など、体型(土台)が変わり、若い頃と同じ手順で着ても決まらなくなりました。そのとき助けになったのは、着付けの手順を変えることではなく、襦袢の下の土台を整えることでした。
だからこのブログでは、私が実際に経験してきた、シニアの体型の変化に合わせた「土台づくり」をお伝えしていきます。
衿合わせなどの手順は、「ぷかぷかしない衿合わせ」のように検索していただくと、若い方の動画はたくさん見つかります。ここでは、それでも決まらないときの原因と、シニアの土台の整え方を書いていきます。
年齢に関係なく襦袢の衿が浮くお悩みは、以前のこちらの記事で解説しています。

① 着物の衿にファンデーションがついてしまう
友人から「衿が顔にさわって、着物の衿がファンデーションで汚れるの」と相談されました。
原因は、衿が詰まりすぎていることでした。首に衿が近いと、どうしても顔まわりに触れてしまいます。衿合わせを広めにしたところ、汚れの悩みは解消しました。
ただ、その友人は、着ているうちに衿がだんだん詰まってきてしまう方でした。そこで、洗える正絹の長襦袢「き楽っく極」をすすめたところ、衿合わせがうまくできるようになりました。「き楽っく極」は衿元がゆったり着付けられたり、動きにくい工夫が施されています。
気をつけるより、着方や道具を変えるのが近道でした。
私は、洗える正絹の「き楽っく極」を使っています。
洗える上に正絹の着心地が気に入っています。
詳しくは、こちらの記事で紹介しています。

② 若い頃に作った長襦袢の寸法が合わない
着付け教室の生徒さんに多いお悩みですが、若い頃に仕立てた長襦袢は身幅(体をぐるりと包む幅)が小さく、今の体に合っていないことがあります。合わないまま衿合わせを頑張っても、うまく決まりません。
本来は、作り直すのが一番です。ただ、少しのずれなら、衿を多めに抜いて、コーリンベルト(衿元を留めるゴム付きのベルト)で固定することで整えられます。どれくらい抜くかは、体型や長襦袢によって違うので、鏡を見ながら調整してください。
また、衿元が自由に変えられる半襦袢➕裾除けを使うことでも対処できます。
③ 胸元にボリュームがなくて、衿が落ち着かない
胸元が薄いと、衿が留まる場所がなくて、浮いたりずれたりしやすくなります。あなたはどのタイプでしょうか。
年齢とともに変わった方
胸が少しずつ下がって、胸元の上の部分にボリュームがなくなってきます。着付けが下手になったのではなく、衿をのせる土台が変わったのです。
もともと胸元が薄い方
補正肌着でしっかり胸元全体を整えるのがおすすめです。クッションになって紐をキツく絞めなくても落ち着きます。
バストが豊かな方
バストが豊かな方は、基本的に補正肌着は要らないことが多いです。バストを整える一般的な和装ブラを、お店で試着して選べば十分です。
ただ、シニアの方には、きついサイズはおすすめしません。見た目よりも、楽に着られることを大切にしてください。楽でないと、着物を着ること自体が続かなくなってしまいます。
私の場合
私は、汗取りと涼しさ、胸元の補正を兼ねられる「くノ一麻子」を、暑い時期を基準に選び、オールシーズン使っています。これで全体的にボリュームが出て、衿元が落ち着きます。
暑い時期に着物を着ない方は、汗取りや涼しさにこだわらなくても大丈夫です。もう少しお手頃な補正肌着でも、胸元をしっかり整えれば、衿元は落ち着きます。
和装ブラは、ものによってはくノ一麻子と一緒に使うこともあります。たかはしきもの工房の和装ブラは、着け心地はきついのですが、バストアップ効果を感じられます。きついので、私は「ここぞ」という日に使っています。
(※体験には個人差があります)

私自身の変化
着物は、生地の種類によって、着付けの手順は同じでも仕上がりが変わることがあります。同じ正絹でも、紬と訪問着や付け下げでは、まったく別物です。
寒い時期に、ユニクロのヒートテックのブラトップを着たまま訪問着を着たことがあります。そのときは、衿元もきれいに決まりました。胸元にブラのカップのボリュームの土台があったから訪問着の衿元が決まったのです。
ところが、柔らかい結城紬を着たときは、補正をしていなかったせいか、衿が動いてしまい、一日中直していました。これは本当に大変でした。それ以降は生地の薄い結城紬を着る時はしっかり補正をすることにしました。
今思うと、胸元に土台となる張りがなかったので、襦袢と薄くて柔らかい結城紬が落ち着かなかったのだと思います。
着るものによって仕上がりが変わるなら、その日ごとに悩むより、自分なりの「土台を整える決まり」を作っておくほうが、着付けのハードルはぐっと下がります。私にとっての土台が「くノ一麻子」やブラトップなんです。


まとめ:着物は、体が変わっても楽しめます
年齢を重ねて体型が変わってきて、衿元が決まらない原因と、その対処法をまとめます。
- 衿合わせが詰まりすぎている
→ 衿合わせを広めにすることを意識する(洗える正絹の「き楽っく極み」は自然と衿元がゆったり着付けできる) - 長襦袢の寸法が今の体に合っていない
→ 衿を多めに抜いてコーリンベルトで固定する。一番は、今のサイズで長襦袢を作る(既製品なら、洗える正絹の「き楽っく極み」が便利) - 胸元の上のほうにボリュームがなく、衿が留まる土台がない
→ 補正肌着で胸元のボリュームを足してしっかり整える(年中対応できるくノ一麻子が便利)
体型は、年を重ねると少しずつ変わります。それは自然なことです。着物のほうを無理に合わせるのではなく、今の体に合わせて着付け方や着付け小物を工夫すれれば、また心地よく着られます。
この記事が、あなたに合った「土台」を、少しでも簡単に見つけるきっかけになればうれしいです。
「何度直してもうまくいかない」という方は、一度、この中の原因に当てはまっているかを探してみてください。そして、できることから実行してみてください。
最後までお読み頂きありがとうございました。着付け教室を開催しています。詳しくは下記よりご覧ください。

「衿元がうまく決まらない」「帯結びが苦手」——記事だけでは難しいところは、直接お教えできます。京都で着付け教室を開いています(講師:日本着装協会認定講師 みつ子)。
初心者向けの基礎科(全8回)、苦手克服のフリーコース、タンスの着物をまるごと相談できる箪笥診断、夏季限定のワンコイン浴衣レッスンもあります。
