講師として仕事をしていた頃、私は母から譲り受けた短い着物を、きちんと寸法直しをして着ていました。それが当然だと思っていましたし、きちんと着ることは今も大好きです。
でも講師を辞めてから、考え方が少しずつ変わりました。年齢的にも、もっと楽に自由に着たいと思うようになったのです。そのきっかけをくれたのは、インスタグラムの投稿や、実際にお会いした着物好きの若い方たちでした。
自由な着こなしを見て、「こんな着方があったのか」と素直に学びました。
きちんと着ることも、自由に着ることも、どちらも着物の楽しみ方です。シニアになるほど、その自由さがより必要に感じます。そしてもちろん、若い方にも同じように自由に着物を楽しんでほしいと思っています。

こんな方に読んでほしい記事です
- リサイクルショップで気に入った着物を買ったけどサイズが合わない
- 親や祖母から譲り受けた着物をタンスで眠らせている
- 着物に興味はあるけれど、サイズが心配で踏み出せていない
1,000円の大島紬との出会い
着物にハマった若いミセスから、こんな相談を受けたことがあります。
「リサイクルショップで色柄が可愛い大島紬を1,000円で見つけて。着丈が短かったけど、レースのスカートを合わせたら可愛くできたんです。でも袖が短くて、手がにゅっと出てしまうんですが…これって大丈夫ですか?」
大丈夫です。むしろその発想、大正解です。
大島紬は本来、新品なら数十万円することもある高級な絹の着物です。それが1,000円で手に入り、しかも自分なりに工夫して着こなしている。着物の楽しみ方として、これ以上のことはないと思いました。
この記事の土台にある考え方
この記事でご紹介する解決策は、すべて洋服と着物を自由に組み合わせるという考え方が土台になっています。
着物はサイズが合わないと着られない、と思っていませんか?それは礼装の場での話です。普段着やカジュアルなお出かけであれば、洋服ミックスを取り入れることで、サイズの悩みはほとんど解決できます。
サイズが合わなくても、工夫すれば着物は楽しめます。
着丈が短い場合の解決策
着丈が短い場合は、下に洋服を合わせるのが一番シンプルな解決策です。短さを隠そうとするのではなく、短いことを活かしたコーディネートを考えるのがポイントです。
季節別の組み合わせ
袷(冬物)
ニットのタイトスカートかスパッツを合わせます。タイトスカートは帯周りがすっきりまとまり、全体的に洗練された印象になります。お持ちであればそれを活用してください。
単衣(春・秋)
リラコのようなルームパンツや薄手のスカートが使いやすいです。リラコは動きやすく、着物の下でもたつかないのでおすすめです。
このリラコとブラウスの上に着物を着ています。

左からニットのタイトスカート、真ん中は薄手のプリーツスカート、右端はスパッツを中に合わせています。

夏物
夏物は透けるため、半襦袢+長さを調節した裾よけが基本です。または「き楽っく」のような袖と衿が外せる長襦袢を使い、裾は好みの長さに短く着付ける方法もあります。
私は「き楽つくの正絹バージョン極み」を愛用しています。
着物の長さに合わせて調節可能でレースが透けて見えても可愛いです。
袖と衿を外した「き楽つく極」です。裾よけが透けないので透ける麻着物や浴衣の下に肌着としても着ています。

おはしょりが出ない場合は「帯ベルト」で解決
着丈が短いと、帯の下におはしょりが出ません。普通に着付けると、なんとなく物足りない印象になります。
先ほどのミセスがやっていたのが、帯を結んだあと、その上から洋服用の少し太めのベルトを重ねて巻くという方法です。
これ、実はおはしょりが出ない問題への立派な解決策になっています。ベルトがおはしょりの代わりに帯と裾の間を自然に区切ってくれるので、見た目がすっきりまとまります。しかもレースのスカートと合わせると、着物というよりひとつのファッションコーディネートとして完成していました。
この商品だけでなく、類似の商品があれば使用してください。
このような帯ベルトを使えば、おはしょりがなくても自然にカバーできます。このように工夫しても楽しいです。

袖が短い場合の解決策
「手がにゅっと出る」のは本当におかしいのでしょうか?
礼装の場では袖丈は大切です。ただし普段着として着るなら、全く問題ありません。むしろインナーがのぞくことで、おしゃれな重ね着として見える場合もあります。
母の大島紬をサイズを直さずそのまま着ています。着丈や袖丈が短いのですが、かえって動きやすくて便利です。

季節別の組み合わせ
袷(冬物)
タートルネックセーターが頼れる味方です。袖口まで隠れるので「手がにゅっと出る」悩みをそのまま解決でき、防寒にもなります。
単衣(春・秋)
綿素材のハイネックインナーを合わせます。素材が薄いので着物の下でもごわつかず、袖口からさりげなくのぞく感じがおしゃれに見えます。

夏物
半襦袢を着れば袖口が自然に決まります。「き楽っく」は袖の長さを選べるので、短い着物でも自然な袖丈に見せられます。
半襦袢の下はステテコや裾よけで気軽に

正絹が好きな方は自宅で洗える正絹襦袢、「き楽っく 極」こちらもコスパ良い上に便利です。
一つだけ気をつけること
洋服ミックスで気をつけたいのは色数だけです。
着物・帯・スカート・インナーと重なるぶん、色が多くなりがちです。2〜3色でまとめることを意識するだけで、ごちゃごちゃせずスッキリまとまります。
サイズで諦めないでください
着物はサイズが合わなくても着て楽しめます。
譲り受けた着物、リサイクルショップで見つけた着物、タンスで眠っている着物。工夫次第で、どれもあなたの「着られる着物」になります。
最初は家の中で着るだけでも十分です。少しずつ慣れて、外へ着て出かけてみてください。着物のある生活は、思っているよりずっと自由で楽しいものです。

着付けで困ったことがあれば、きもの教室のカリキュラムをご覧のうえ、お気軽にご相談ください。
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